若い教師たちが若々しい力を注入し、活気あふれる中国の「老年大学」
9月となり、中国の「シルバー族」も新学期を迎え、バレエの練習をしたり、ライブ配信の方法やショート動画の撮影方法を学んだりしており、中国の高齢者向け教育機関である「老年大学」も、活気であふれている。「老年大学」が人気になっているのは、プロフェッショナルで若い教師たちが教壇に立ち、生き生きと、献身的な姿勢で、そこに活気と若々しい力を注入していることとも密接な関係がある。新華社が報じた。
「90後」が教える声楽の授業が「シルバー族」に人気に
江西省九江市濂渓区にある「老年大学」の音楽教室は午前9時になると、満席となっていた。受講者は「90後」(1990年代生まれ)の声楽の董福順先生の指示に合わせて、まず呼吸の練習をしていた。受講者である高齢者たちは元気はつらつとしていて、真剣な目つきで受講していた。
高齢者に声楽を教える董福順先生(写真提供・取材対応者)。
董先生は2017年、老年大学の教壇に初めて立った。当初は他の教師を手伝う形での代理講師だったが、気付けばそのまま教え続けて7年が経ったという。董先生の授業は、始めこそ受講者が少なかったものの、今では応募が殺到するほどの人気授業となっている。中には友達と一緒に1度受講して、すっかり気に入ってしまった高齢者もいるという。還暦を過ぎた李珍鳳さんは、「董先生の授業はとても楽しく、にぎやかで、おもしろい」と話し、彼女は歌う時に音程が外れなくなり、女友達との集まりでも歌を披露するほどになったという。
一緒に時間を過ごして、「互いに歩み寄る」若い教師と高齢者たち
多くの若い教師たちは、「老年大学」における教師と生徒の関係は、「互いに歩み寄る」ような関係で、年齢の差を忘れて、一緒に時間を過ごし、一緒に成長できていると感じている。
董先生はこの7年間で、1000人以上の高齢者に声楽を教えてきた。今学期、董先生は1週間のうち5日間は「老年大学」の教壇に立つことになっており、「高齢者たちは元気はつらつとしていて、自分もパワーをもらっている。授業をすると、自分自身も1日、元気に過ごすことができる」と話す。
毎週、四川省成都市の老年大学で、古典舞踊やバレエを教えている「95後(1995-99年生まれ)」の温淳先生にとって、授業は「癒される」時間なのだという。授業が終わって喉がかすれていると、次の授業の時には教壇にのど飴や蜂蜜入りの水が置いてあり、悩みがある時は、親切な受講者が相談に乗ってくれたり、自分の人生経験を語ってくれたりするという。さらに、結婚相手を紹介しようとしてくれる受講者もいるという。
高齢者たちにダンスを教える温淳先生(写真提供・取材対応者)。
「老年大学」の教壇に立ち始めたばかりの頃について、温淳先生は、「少し緊張した。高齢者たちにうまく教えられなかったらどうしようと心配だった」と振り返り、「でも、受講者はみんな心が広く、やさしく、とても前向きな気持ちにさせてくれる。高齢者と一緒にいる時間が増えたことで、ものの見方も変わって、せっかちだった性格もおっとりとした性格へと変わった」と話す。
老年大学で動画の作成を教える喩歆桐先生(35)は自分が受け持つ受講者について、「50歳を過ぎてから、新しいことを学び始め、その生活を楽しんだり、一生懸命学んだり、自分の限界を超えようと努力したりする姿勢を見て、毎回とても励まされる」と話し、その眼差しからは、受講者に対する称賛の思いがあふれていた。
今、「老年大学」の教壇に立つ若い教師が増えている。以前、「老年大学」というと、高齢の教師が高齢者に教えるというのが一般的だったが、今は若い教師が高齢者に教えるというパターンが増えている。
成都市の「老年大学」の教務教研部の王小琴部長は、「2024年秋学期、当校は約210人の教師を採用した。40歳以下の中・青年の教師がその60%を占めている。『90後』の教師だけを見ると、約50人となっている」と説明する。
温淳先生は、「踊れるかぎり、『老年大学』で教え続けたい。高齢になっても、楽しみがあり、学ぶことがあれば、生きがいがある。私も老後は、彼らのようにいろんなことにチャレンジしたい」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年9月11日
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