中国初の海洋掘削船「夢想」号が就役
「地殻を貫通し、地球の深部に進出する」ことは、人類の古くからの科学の夢だった。現在、中国で新たに就役した科学調査船は、この夢を現実に変えようとしている。新華網が伝えた。
17日、最大1万1000mの掘削能力を持ち、中国が独自に設計・建造した初の海洋掘削船「夢想」号が広州市で正式に就役した。
同船の全長は179.8m、幅は32.8m、排水量は4万2600トン。中国で現在トン数が最大の科学調査船で、航続距離は1万5000カイリ、持続力は120日間、定員は180人。その安定性と構造強度は風速51~56m/sの超大型台風の安全要件に従って設計された。風浪階級6でも正常に作業でき、世界のすべての海域での作業能力を持つ。
中国の深海探査重要技術設備分野の重要なブレイクスルーとしてのこの国の代表的な設備に期待が寄せられている。同船は深海資源探査、大洋科学掘削、深海科学調査など複数の使命を担い、国のエネルギー資源安全保障への寄与、深海重要技術の研究開発の推進、海洋の新たな質の生産力に発展に対して重要な意義を持つ。
自然資源部(省)中国地質調査局広州海洋局の許振強局長は、「夢想号が取得する地球深部コアサンプルは、世界の科学者のために地球のプレートテクトニクス、海洋地殻の進化、古代の海洋気候、生命の進化などを理解するための最も直接的な証拠を提供でき、人類が海洋をより良く認識、保護、開発するのに役立つ」と述べた。
地球深部への探査はどれほど困難なのだろうか。地殻の平均的な厚さは約17kmで、地球の約6371kmの半径と比べれば取るに足らない。地球を卵に例えるなら、現在の人類の地球の研究は「卵の殻」に留まっていると分かりやすく例える科学者がいる。
地殻を貫通して初めてマントルに触れることができる。地球の体積の5分の4、質量の4分の3を占めるマントルは地球最大の「化学貯蔵庫」で、謎に満ちている。一方、モホロビチッチ不連続面と呼ばれるマントルと地殻の境界面は、大陸の約30−40km下、大洋の約6−7km下に位置する。つまり深海から掘削する方がこの面に到達しやすく、突破しやすいということだ。
そのため、同船は世界初の、石油・ガス探査及びコア取得の機能を兼ね備える油圧式掘削機を採用。そのトップドライブの持ち上げ力は907トンに達し、4種の掘削モードと3種のコア採取方法を備えており、大洋掘削・コア取得及び深海大洋鉱産資源探査・開発といった異なる作業の需要を満たす。その総合的な掘削効率と硬岩掘進能力が大幅に向上しており、掘削・採取システムで世界をリードしている。
世界をリードする深海作業プラットフォームとしての「夢想」号は、海を移動する「国家実験室」とも呼ぶことができ、科学調査・実験機能と情報化水準で世界をリードしている。船内には基礎地質、古代地磁気、無機地球化学、有機地球化学、微生物、海洋科学、天然ガスハイドレート、地球物理、掘削・探査技術の9つの機能実験室がある。総面積は3000平方メートルを超え、世界初の船舶搭載型コア自動輸送・保存システムを搭載し、海洋分野の全分野の研究ニーズに対応できる。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年11月18日
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