中国の科学者、北極海の海底「山脈」の謎を解明
北極海のガッケル海嶺は世界で最もゆっくり拡大する海嶺だが、一年中海氷に覆われているため、その研究はほとんど行われていない。自然資源部(省)第2海洋研究所が22日に明らかにしたところによると、中国工程院の李家彪院士の科学研究チームがガッケル海嶺の研究で重要な進展を遂げた。関連成果は「ネイチャー」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。
陸地の山脈はプレートの衝突によって形成されたことが多い。それとは反対に、海嶺はプレートの引っ張りによって形成されたものだ。灼熱のマグマがマントルから湧き上がり、冷却後に新たな海洋地殻を形成する。新たに生まれた海洋地殻は海嶺両側にある既存の地殻を押し込み、持続的に外側に向けて拡張し、最終的にプレートの境界でマントルに沈み込む。海洋地殻はこの過程で往復を繰り返し、成長し続けていく。科学者は海嶺の拡張速度とマグマの供給量の違いに基づき、これを「高速」「中速」「低速」「超低速」という4つの主要タイプに分けた。うち超低速拡張海嶺は、南西インド洋海嶺と北極海のガッケル海嶺が最も典型的だ。
中国第12次北極科学観測ガッケル海嶺深部探査計画航海段階では、観測隊は全面的に独自に研究開発した国産海氷下海底地震計、海底地磁気観測機器、短基線測位システム、グラブバケット、自律ロボットなどの重要技術装備を利用し、一連の氷エリア海底探査方法及び作業マニュアルを形成した。43台の地震計のうち42台を、6台の海底地磁気観測機器のうち5台を回収し、回収率が97.7%にも達した。北極高緯度密集氷エリアで海底地震調査を行えないというジンクスを打ち破った。
科学研究者は今回の研究により、ガッケル海嶺には世界で最も厚い海洋地殻(約9km)がある上、非常に強い時空間変化があることを発見した。この発見は、ガッケル海嶺の厚さがゼロに近いという従来的な観点を根底から覆した。科学研究者は過去の観測と結びつけ、これは偶然の例外ではなく、超低速拡張海嶺の固有の性質であるとしている。海氷下地震計アレイ観測によってガッケル海嶺の地殻の厚さに非常に強い時空間変化があることが分かったのは世界で初めて。
数値シミュレーションの結果はさらに、超低速拡張海嶺におけるマグマ活動は主に活発な湧昇のコントロールを受ける上、活発な湧昇がマントルの温度と組成成分に対して非常に敏感であるため、変化が非常に大きなマグマ活動につながったことを物語っている。今回の研究の成果はガッケル海嶺の深部地殻構造に関する国際的な研究の空白を埋め、熱水硫化物形成の物質的基礎と資源の見通しを理論的に見直し、世界の海底資源の研究、探査、開発に全く新しい構造をもたらすことになる。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年8月23日
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