大人気クリエイティブグッズはどうやって生まれたか 入手困難のマグネットも
このグッズを手に入れるために、毎朝6時から長い行列に並ぶ人もいれば、遠くからわざわざやって来る人もいる。転売価格が高騰し、いまだに品薄状態が続いている。これは北京にある中国国家博物館が収蔵する明代の孝端顕皇后の鳳凰の形の冠をモチーフにデザインしたマグネットで、販売と同時に大変な人気商品になり入手が困難になった。今の若者にとって、写真撮影、スタンプ集め、クリエイティブグッズ購入が「都市めぐり3点セット」になっており、クリエイティブグッズを買うためだけにその都市を訪れる人さえいる。では、若者が小さなマグネットに夢中になるのはなぜなのだろうか。
博物館クリエイティブグッズのラインナップに先ごろ新たに加わった話題の商品「国博鳳冠マグネット」は、発売から3ヶ月で8万個近くを売り上げた。同じシリーズのバッジ、しおり、キーホルダーなどの売上総額は1000万元(1元は約21.3円)を超えた。
写真提供・中国国家博物館
マグネットはかつては景勝地のおみやげとして目を引く存在ではなかった。それが今や、若者世代の文化消費意欲の高まりと各地の博物館の主体的なクリエイティビティ追求の動きにともなって、小さなマグネット市場に、我も我もと進出するようになっている。北京古代建築博物館の天宮藻井(天井の装飾)をモチーフにしたマグネットは5つの層に外すことができ、天壇の二十四節気マグネットは雪が降っている情景を再現している。ネットユーザーの中にはマグネットを組み合わせるという新しい楽しみ方を見いだした人もおり、三星堆の青銅の仮面のマグネットに鳳冠のマグネットをかぶせるなどして楽しんでいる。
SNSのスクリーンショット
情報プラットフォームの智研諮詢が発表した報告によると、2023年中国クリエイティブグッズ市場の規模は前年比13.09%増の163億8000万ドル(1ドルは約154.0円)に達した。
博物館のクリエイティブグッズは現在すでに成熟した開発モデルを確立している。それは一定の周期に基づき、独自開発、共同開発、販売委託、調達、ライセンス付与などの方法で開発プロジェクトを進め、グッズに適した生産工場や手工芸技術を持つ職人を見つけて生産を行い、最終的に博物館のオフラインとオンラインの店舗といったルートで販売するというものだ。
博物館はどのようにして多くの収蔵品の中から1つを選び、そのモチーフを使用したクリエイティブグッズを打ち出すのか。
北京古代建築博物館の薛倹館長は、「クリエイティブグッズの開発は博物館の収蔵品と結びつける必要がある。なぜならこれらのグッズは、その収蔵品の第2の展示ホールへ誘うようなものであり、クリエイティブグッズがその文化を伝える役割を担っているからだ。人々は博物館で収蔵品を鑑賞するプロセスを楽しめるだけでなく、購入したクリエイティブグッズを見て、収蔵品の文化的な意義や背後にある物語を振り返ることができる」と説明した。
SNSのスクリーンショット
地域の特色を活かしたクリエイティブグッズのデザインをするブロガーの韓鋭さんは、「デザイン・開発という視点から見ると、『商品の差別化』と『地域的テーマをしっかりとらえること』が、一般的に人気クリエイティブグッズの必須条件になる」との見方を示した。
また中国工芸美術館・中国無形文化遺産館収蔵品・収集部の蒋名未副部長は、「若い世代の消費者は『中国風』の美しさを非常に好み、博物館のクリエイティブグッズが台頭していくための市場の原動力を提供している」との見方を示した。
若者はSNSプラットフォームでの情報共有を他の世代よりもさらに好み、情報をアップするために博物館に出かけることが、若年層の間で流行しており、博物館クリエイティブグッズ市場の発展も促している。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年11月26日
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