北京の人気観光スポット・故宮博物院では200匹以上の野良猫が暮らしており、どの猫にも名前があり、毎日ネズミを退治してくれている。そんな故宮は、「故宮猫」シリーズの文化クリエイティブグッズを打ち出し、子供たちに大人気となっている。19日に開催された「文化クリエイティブグッズの開発推進に関する記者会見」で、故宮博物院の単霽翔院長は、「昨年末までに、故宮が打ち出す文化クリエイティブグッズは8700種類以上となり、売上高は10億元(約167億円)を超えた」と明らかにした。中国青年報が伝えた。
単院長によると、故宮には犬もおり、毎日閉館した後の『パトロール』を、一生懸命してくれている。故宮は4月に「牡丹展」を開催した後、牡丹のがらのドッグウェアを発売した。この秋に「菊花展」を開催する計画で、後には菊の花のがらのドッグウェアも発売する。
単院長は、故宮の文化クリエイティブの経験も総括し、その一番目に「多くの人のニーズに合わせ、実用的なグッズを作る」ことを挙げた。例えば、毎月、故宮の要素を取り入れた新しいスマホケースを発売しており、すでに数百種類に達している。また、乾清宮の正面に掲げられた額に書かれた「正大光明」という文字をモチーフにした充電器のほか、マウスパッド、USBメモリ、マスキングテープ、酵素石けん、ラストエンペラー・愛新覚羅溥儀がかけていたチタン眼鏡などがある。しかし一方で、単院長は、「故宮カレンダーは昨年、28万5千冊しか印刷されなかったものの、市場では100万冊販売された。つまり70%がコピー品。著作権の保護を呼び掛けたい」と訴えた。
そして、故宮の文化クリエイティブグッズは、故宮の文化財の研究を基礎にしていなければならないと強調し、「故宮には180万7558点(セット)の文化財が保管されている。それらは歴史の情報を含み、昔の『匠の精神』が体現されている。そのような文化財の要素を文化クリエイティブグッズに盛り込まなければならない」と語った。例えば、宣教師・ジュゼッペ・カスティリオーネ清郎世寧の絵画作品「儀礼用甲冑を着けた乾隆帝」には、きれいな白い馬が描かれている。故宮はこの図案をネクタイに盛り込み、単院長が海外に出かけた際にそのネクタイをしていると、外国の指導者らの間で人気となった。「雍正十二美人図」をモチーフにした傘やしおりなども既に発売されている。単院長は「清の高級官吏に着用を許された装飾品『朝珠』をモチーフにしたイヤホンをして携帯を使うと皇帝になった気分という人もいる。でも、皇帝の時代には携帯はなかったはず」と笑いながら話した。
さらに、「文化産業の発展を大々的にサポートしているが、博物館の文化クリエイティブグッズの研究・開発には、文化産業特定項目経費には盛り込まれていない。大多数の博物館の事業の発展経費にも、文化クリエイティブグッズの研究開発経費は盛り込まれていない」と指摘した。
単院長によると、外的要因のほか、博物館自体にも、▽グッズの同質化や文化財の文化的要素をどのようにグッズに盛り込むかが分からない、▽運用できる文化的要素があっても、社会の流行とシンクロできていない、▽グッズの研究開発後、市場からフィードバックを取ったり、アップデートしたりしていない、▽影響力のある文化クリエイティブグッズシリーズを形成できないなどの、課題が存在している。
2013年に台湾台北の故宮が打ち出したマスキングテープは大ヒット商品となり、定価200台湾ドル(約672円)のマスキングテープが98元(約1585円)で取引されるなど、手に入らない状況となった。単院長は、「台北の故宮を模範にしなければならない」とし、「台北の故宮の馮明珠院長が北京の故宮を訪問した時、当院が開発したTシャツを買い、『18歳の息子が着るのにちょうどいい』と言っていた」と紹介した。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年5月21日