中国チーム、視覚障害者向けナビゲーション用ウェアラブルAI支援システムを開発

人民網日本語版 2025年04月17日08:35

中国の科学研究チームはこのほど、視覚障害者のナビゲーションを行うウェアラブルAI(人工知能)支援システムを新たに研究開発した。同システムは視覚・聴覚・触覚を統合し、AIアルゴリズムにより環境を探知するもので、着用者が障害物や物体に接近した際に信号を送信することで、移動や掴み取りなどの視覚的タスクの遂行を支援し、視覚障害者の自立生活能力を高めることを目的としている。中国新聞社が伝えた。

この生体医工学分野におけるAI応用に関する重要な研究は、上海交通大学の顧磊磊准教授のチームが復旦大学、香港科技大学、華東師範大学などの機関と共同で実施したものだ。関連成果の論文は北京時間14日、シュプリンガー・ネイチャー傘下の専門学術誌「Nature Machine Intelligence」にオンライン掲載された。

論文の連絡著者である顧氏によると、視覚障害者にとって、ウェアラブル電子視覚支援システムは医学的治療および人工視覚インプラントに代わる将来性が高い選択肢だ。これらのデバイスは周囲環境における視覚情報を聴覚や触覚などのその他の感覚信号に変換することで、日常的なタスクを支援する。しかし現在は多くのシステムが使用負担が大きく、広く視覚障害者に受け入れられていない。

研究チームはこれらの課題に対処するため、人間中心の視覚障害者支援システムを設計・開発した。AIアルゴリズムとハードウェアの協同イノベーションを通じ、使用者の負担を軽減し、システムの使いやすさを向上させている。同システムはAIアルゴリズムで分析装置のカメラで撮影した動画を解析し、立体音響を通じて脳に情報を伝達しながら、使用者に最終目標を達成するよう段階的に誘導するものだ。さらに、研究チームは手首に装着可能な伸縮性人工皮膚も開発した。振動信号を使用者に伝えることで、観察範囲を拡大し、両側の静的・動的障害物を回避することができる。

研究チームは研究開発したウェアラブルAI支援システムの機能を人型ロボットによるテストを実施した上、仮想および現実環境の両方において視覚障害者の訓練とテストを行った。その結果、被験者のナビゲーション中およびナビゲーション後のタスクにおけるパフォーマンスが顕著に改善された。例えば被験者は迷路や机と椅子が並んだ会議室を通り抜けたり、特定の物体を掴み取ったりすることができた。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年4月17日

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