10万匹のカラチョウザメが長江に放流 「水中の国宝」の育て方

人民網日本語版 2025年05月09日15:50

カラチョウザメは長江水生生物の象徴種であり、中国固有の古くからある希少な魚類でもあり、「水中の国宝(特別天然記念物)」とも称される。長江の野生のカラチョウザメは近年少なく、8年連続で自然繁殖が確認されていない。そこで、人工繁殖されたカラチョウザメの増殖放流により、長江のカラチョウザメ個体群の数を補充することが、カラチョウザメ保護の重要な手段となっている。カラチョウザメの増殖放流イベントが8日、長江荊州区間で行われた。中央テレビニュースが伝えた。

カラチョウザメは放流前、一時的にプール内で待機する。これは長江の水環境に事前に適応できるようにするためだ。作業員はさらに長江の水をろ過し一時飼育プールの水源とし、同時に酸素供給装置も設置した。

特筆すべき点として、多くのカラチョウザメの体をよく観察すると、超音波モニタリング装置が取り付けられていることが分かる。これは神経や血管が通っていない背中に設置されるため、傷や痛みを与えることはない。この超音波装置と長江や沿岸部のモニタリングステーションを組み合わせることで、川と海の間の移動経路を追跡でき、人工繁殖されたカラチョウザメの自然環境への適応状況を把握することができる。

科学研究機関の昨年のデータによると、放流された5歳以上のカラチョウザメが長江河口に到達した割合は50%に達した。これはカラチョウザメの増殖放流が野外個体群に対して一定の補充効果を発揮したことを物語っている。

取材によると、昨年のカラチョウザメの放流規模は初めて100万匹を超えた。試算によると、すでに約11万匹の幼魚が長江河口から海に入っている。これほど大規模なカラチョウザメ増殖放流の稚魚はどこから得られるのだろうか。人工繁殖されたカラチョウザメはどのようにして成長するのだろうか。

荊州市カラチョウザメ保護センターを訪れてみると、そこには「大きな家」があった。直径は40メートル、深さは4.5メートル。これほど広々とした空間は、第一世代のカラチョウザメのためのものだ。同センターの周青センター長は、「第一世代とは、長江に生息していた野生の親魚から人工繁殖により生まれた世代を指す。カラチョウザメの性成熟期は平均15歳前後で、より広いスペースを与え、長江の野生環境を模倣することで、より良く成長・生息できるようにしている」と述べた。

カラチョウザメ保護拠点には、昨年末に誕生した生後6カ月の第一世代の稚魚がいる。周氏は、「カラチョウザメの稚魚は水質に非常に敏感だ。通常はカラチョウザメの稚魚の飼育に井戸水を用いている。井戸水のミネラル分が非常に少なく、また水温も安定しているため、稚魚の生存率を大幅に高めることができる。人工繁殖されたカラチョウザメは、長江の野生個体群の回復に活力を注入することになるだろう」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年5月9日

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