中国で旅行先で婚姻届を提出し、特別感を演出する若者が増加
山東省済寧市の阿苹さん(仮名)は最近、彼氏と一緒に約4000キロ離れた、雪山や湖、白い雲が織りなす絶景が広がる新疆維吾爾(ウイグル)自治区賽里木(サリム)湖景勝地に足を運び、婚姻届を提出し、「結婚証」を受け取った。
阿苹さんは、「済寧で婚姻届を提出するよりも、このように遠くにやって来て提出するほうが特別な思い出になる。5年間の遠距離恋愛を経て、数千キロ離れた新疆に来て『結婚証』を受け取った。苦労してここまで来れたので、大切にしたいという思いも強まる」と語る。
新疆賽里木湖景勝地で夫と一緒に記念写真を撮影する阿苹さん(写真右、写真提供・取材対象者)。
賽里木湖や中国各地の婚姻届提出窓口は最近、阿苹さん夫妻のように、他の地域からわざわざやって来たカップルで賑わいを見せている。改正された「婚姻登記条例」が今月10日から施行され、婚姻届の提出にあたる「婚姻登記」の手続きが全国各地でできるようになったのを背景に、「旅行先で結婚」や「デスティネーション・ウェディング」などがブームになりつつある。
カップルで旅行に行き、旅行先で婚姻届を提出すると特別感があり、二人だけの素敵な思い出を作ることができる。
広東省恵州市の珊珊さん(仮名)は彼氏と一緒に、西蔵(チベット)自治区へ旅行し、そこで結婚式を挙げる計画を立て、5月10日から「婚姻登記」の手続きが全国各地でできるようになったのを知って、10日の旅行先だった四川省甘孜蔵(カンゼ・チベット)族自治州甘孜県で手続きを行った。
珊珊さんは、「伝統的な結婚式はとても複雑。双方の両親の同意もあって、ずっと行きたかった西蔵自治区で結婚式を挙げることにした。今回の旅行は特別で、とても充実していて、意義深い」と話す。
四川甘孜蔵族自治州で「結婚証」を受け取った珊珊さん(写真左)と夫(写真提供・取材対象者)。
旅の途中のカップルもいる。広西壮(チワン)族自治区出身の梁森さんと、吉林省出身の王銘憶さんは最近、吉林省吉林市から車で出発。331国道を一路進み、1万キロ以上離れた新疆の賽里木湖に行って、婚姻届を提出する計画だ。
梁さんは、「僕たちは元々旅行好き。婚姻届が『全国で提出可』となる政策の実施が始まったので、素敵な『結婚証』を受け取りたいと思った。旅の途中で、遼寧省丹東市で軽食を食べたり、虎山長城(万里の長城)を眺めたり、高くそびえ立つ雪山に登ったりして、世界に一つだけの『恋愛映画』に出演している気分に浸ることができている」と話す。
梁さんと王さんは、ツーショット写真が真ん中に貼られた白い紙を持参しており、旅行先で、現地の郵便スタンプを押している。「1万キロ以上走りながら、途中で通る都市に寄って、その郵便スタンプを押し、空白をいっぱいにするのが目標」と梁さん。
吉林省の長白山で記念写真を撮影する「ハネムーン」中の梁森さん(写真左)と王銘憶さん(写真提供・取材対象者)。
華中師範大学・社会福利研究センターの梅志罡センター長は、「結婚式には、個性的な生活を追求する若者の思いが表れている。今の若者は、自分らしさを表現して、結婚式の特別感を演出することのほか、結婚式を通して情緒的価値を得ることをとても重視している」と分析する。
他の地域に行って、婚姻届を提出すると、その地域独特の風土や人情を感じ、特別感を体験することもできる。
珊珊さんは、「甘孜県で私達の手続きをしてくれたのは、とても親切なチベット族の女性だった。彼女に、チベット人が人を祝福する時に渡すプレゼント『哈達(ハダ)』をもらった。どれも、他の地域ではできない特別な体験」と話す。
婚姻届が「全国で提出可」となる政策の実施が始まったのを機に、婚姻届を提出する予定のカップルを対象としたキャンペーンを実施する地域も多い。例えば、賽里木湖景勝地の「婚姻登記センター」の職員によると、同景勝地で婚姻届を提出すると、入場料が生涯無料になるという。また、上海の一部の「婚姻登記」機関は、歴史ある建物や特色ある文化が特徴の村や上海で一番ロマンチックな道と呼ばれる通り「甜愛路」などに移転している。浙江省竜泉市は、宋韵文化と組み合わせて、特色あるエリアを作り、結婚関係の消費シーンを充実化させている。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年5月22日
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