金物を組み合わせて「フィギュア」を作る中国の若者
浙江省杭州市に住む女性・白莉莉さんの手にかかると、テーブルの上に散らばっている幾つかの黄銅の金物がわずか15分で、オンライン小説に登場する神器「昊天錘(ハンマー)」に変身する。「友達がこのハンマーが大好きなので、作り方を見ながら、金物を『庶民的なレゴ』のように組み合わせて、プレゼントしたいと思った」と話す。中国新聞網が伝えた。
「金物が『フィギュア』に劇的にイメチェン」するショート動画が最近、中国のソーシャルメディアプラットフォームで大きな話題となっており、多くのネットユーザーがステンレスや黄銅の金物を使って作った「雷神の錘」や「金箍棒」、「方天画戟」などを紹介している。
6月19日、白莉莉さんが金物を使って作った「昊天錘」(画像提供・白莉莉さん)。
金物を使って何かを作るのが好きという阿斯さん(仮名)は以前、ソーシャルメディアで、組み立て方を紹介した。すると、ネットユーザーから「売ってほしい」という要望が殺到したのを受け、阿斯さんはメーカーと連絡を取り、その金物セットをオンラインで販売し始めた。「黄銅やステンレスのパイプといった金物を組み合わせて、自分の好きな形にしていくというのは、最近になって思いつかれたアイデアとは言えない。以前からある金物の新たな価値を掘り起そうとする人が増えているというのは、商品化と市場化の結果であり、とても興味深いこと」と阿斯さん。
フィギュアに必要な金物を用意する金物屋のオーナー(撮影・鮑夢妮)。
杭州市で金物屋を経営して20年以上になるという王廷祖さんは、フィギュアを作るための金物がほしいという若者が初めて来た時は、一瞬目を丸めたという。
王さんは、「雷神の錘」を見せながら、「始めは、その若者が何を言っているのか理解できなかった。それに、ほしいと言うのはあまり売れない金物で、在庫も少なかったので、すぐに売り切れた。それで、すぐにメーカーに連絡して仕入れ、店の前に組み立て済みの模型を飾って、宣伝した」と話した。
王さんの店で販売している金物セットの値段は65-200元(1元は約20.3円)。最初は自分で買いに来た客だけに売っていたものの、やがて仲介業者にも出荷するようになり、新たな商機となった。
王さんによると、「設計図さえあれば、どんなフィギュアでも、当店の金物を組み合わせて作ることができる」という。
なぜ、何の変哲もない金物が、若者の目に留まったのだろうか?浙江省社会科学院シンクタンク建設・世論研究センターの副センター長を務める研究者・姜佳将氏は、「青年が消費経済学に根本的な変化をもたらした。消費行為が単なる経済取引から、人的・文化的価値のコ・クリエーションに高度化したというのがその本質。元々、工業社会の毛細血管である金物屋がユートピアのスタジオになっている。そこにあるのは重要業績評価指標(KPI)ではなく、金物とファンタジーがぶつかり合って起きる化学反応だ」との見方を示す。
そして、「文化クリエイティブグッズが伝えるストーリーが急速に若者の間で広がって受け入れられ、個性や感情が表現されることで、消費者が集まり、新しい消費層が形成され、サプライチェーンもすぐに反応して、リングテールニーズが形成されている。消費層は、途切れることなく生まれるアイデアを通して、文化の消費価値を高めたり、作り出したりして、既存の文化市場の空間を拡大している」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年6月24日
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