中国の若者の心を癒すぬいぐるみ

人民網日本語版 2025年02月27日08:27

中国国産アニメ映画「哪吒之魔童閙海(ナーザの魔童大暴れ)」が中国国内で大ヒット上映中となっていることで、その関連グッズも爆発的な売れ行きとなっている。なかでも主人公の「哪吒」と主要キャラの「敖丙」のぬいぐるみなどのアートトイが、中国のECプラットフォームで飛ぶように売れており、市場では売り切れ続出となり、手に入りにくい状態となっている。中国新聞網が報じた。

中国では近年、ぬいぐるみが若者の心を鷲摑みにし、それを「世話する」というのが新たなトレンドとなっている。合繊綿を詰めたこれらのぬいぐるみのサイズは、高さ5センチから40センチまで色々あるが、最もよく見られるのは高さ20センチのサイズで、顔部分は刺繍で、そのキャラクターの感情を表現することにこだわって作られているのが特徴だ。

徐文晴さんがコレクションしているぬいぐるみ(写真提供・徐文晴さん)。

徐文晴さんがコレクションしているぬいぐるみ(写真提供・徐文晴さん)。

こうした一見するとシンプルなデザインのぬいぐるみが今、中国の「90後(1990年代生まれ)」や「00後(2000年以降生まれ)」の若者の間で人気となっている。また、ぬいぐるみファンの間では、たくさんの「業界言葉」も生まれている。例えば、ぬいぐるみをデザインしたり、「世話」したりする人は、親しみを込めて「ぬいママ」と呼ばれている。

ベテラン「ぬいママ」である「95後(1995-99年生まれ)」の徐文晴さんは取材に対して、「ぬいぐるみファンの間では、ぬいぐるみは『有属性』と『無属性』に分類されている。『有属性』とは、芸能人やライセンスを取得した映画・ドラマのキャラクターをモチーフにしているのに対して、『無属性』はモチーフがなく、自分の好みに基づいて作られたオリジナルのぬいぐるみだ。私がデザインするぬいぐるみは『無属性』がほとんどで、いろんな姿のぬいぐるみをデザインしている」と話す。

芸能人やアニメのキャラクターをモチーフにした「有属性」ぬいぐるみも人気が高い。「00後」の蒋逸睿さんは、ある韓国の芸能人の大ファンで、それをモチーフにしたぬいぐるみを集めており、「一種の心のつながり。私の好きな芸能人は、デビューしてから、いろんなことにチャレンジして成長してきた。その姿を見て、私はたくさんの励ましをもらってきた。これらのぬいぐるみは、私の思いを具現化、物質化してくれている」と話す。

また蒋さんは、二次元(アニメ・漫画・ゲームなどの総称)文化のアニメキャラクターも「有属性」ぬいぐるみのモチーフになっていることに触れ、「たくさんのブランドやデザイナーが人気のゲームやアニメ、映画などのキャラクターをモチーフにして、多様なぬいぐるみを打ち出している。自分の好きなキャラクターやタイプのぬいぐるみを選ぶことができるようになっている」と話す。

自分の大好きな芸能人をモチーフにした「有属性」ぬいぐるみ(写真提供・蒋逸睿さん)。

自分の大好きな芸能人をモチーフにした「有属性」ぬいぐるみ(写真提供・蒋逸睿さん)。

山東財経大学文学・新聞伝播学院の戴盈講師は、「近年、ぬいぐるみは若者の間で瞬く間に人気となっている。この現象は、社会文化、心理、経済など様々な要素が重なって起きている。今の若者は様々な面でストレスを感じているため、ふわふわとしていて、かわいいぬいぐるみは、癒しを与えてくれる存在となっている。その触り心地やデザインが、心理的慰めを与えてくれ、『ストレス解消神器』のように、不安な気持ちや孤独感を和らげてくれるのだ。心理学的に見ると、ぬいぐるみは人形と似たような存在とも言える。心理学的には、人形と会話することで、不安な気持ちや、落ち込んだ気分を和らげることができる。それは、消費主義の産物で、若者はそれを通して、生活の意義を再び見つけている。かわいいぬいぐるみが、ぬくもりや寄り添ってくれる相手、居場所を求める若者の心を満たしている。今後、このような動向は、バーチャルアイドルやメタバースといった新たな概念とさらに融合して、さらに多様な形態が誕生する可能性がある」と分析している。 (編集KN)

「人民網日本語版」2025年2月27日

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