中国が独自に開発した小児用人工心臓の移植に成功

人民網日本語版 2025年09月25日13:51

江蘇省の南京市児童病院が24日に発表した情報によると、同病院はこのほど、5歳で体重13キロの末期心不全の小児患者に第3世代磁気浮上型両心室人工心臓を移植した。これにより世界における同種手術での最年少・体重最小記録を更新した。新華社が伝えた。

手術は9時間にわたり行われた。同病院名誉院長、心臓センター主任の莫緒明氏のチームと天津泰達国際心血管病院院長の劉暁程氏のチームが共同で実施した。チームは手術中、狭い胸腔内での器具配置や、左右心室の血流バランスといった難題を克服した。小児患者は術後1週間で正常に食事できるようになり、短距離の歩行が可能になった。

南京市児童病院の医療従事者と小児患者(9月23日撮影、写真提供・南京市児童病院)。

南京市児童病院の医療従事者と小児患者(9月23日撮影、写真提供・南京市児童病院)。

この小児患者は3年前に稀な心筋症である拘束型心筋症と診断された。今年7月に症状が急激に悪化し、心不全の指標が危険域を大幅に上回った。5歳児への心臓のドナー不足は深刻であるため、病院は家族と十分な意思疎通を行った後、両心室人工心臓移植術の実施を決定した。

世界的に見ると、「埋め込み型補助人工心臓」技術の持続的な更新により、第1世代の拍動型、第2世代の軸流型を経て、現在は第三世代の磁気浮上型人工心臓に発展している。しかし人工心臓は当初から、成人向けに設計されており、低年齢・低体重小児患者は胸腔が狭いといった制限があり、適合させることができなかった。

莫氏によると、今回手術を受けた小児患者は状況がさらに特殊で、体重が軽く胸腔が狭いだけでなく、心腔が正常な小児よりはるかに狭く、これまでのような人工心臓を適合させることができなかった。また小児患者は左右心室が同時に機能不全に陥っており、その血流バランスを保つために両心室補助が必要だった。

南京市児童病院は天津泰達国際心血管病院や航天泰心科技有限公司と協力し、小児患者の画像データに基づき、胸腔モデルを等倍で3Dプリントした。そして第3世代磁気浮上型人工心臓技術に基づき、低年齢小児患者に適した埋め込み型人工心臓を研究開発した。

この小児用磁気浮上型心室補助装置の単一ポンプは約70グラムと軽量で、低溶血性および高適合性の特徴を備えている。血流バランスの課題を解決するだけでなく、血栓リスクを低減し、低年齢・低体重の小児患者への適応性を大幅に高めることができる。

劉氏は、「この装置と手術は中核装置を小児患者の体内に埋め込み、さらに体外依存から体内適応への転換を実現した。これにより世界のさらに多くの低年齢・低体重末期心不全小児患者も成人と同様に、第3世代磁気浮上型人工心臓を使えるようになる」とした。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年9月25日

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