第22回中国−ASEAN博覧会、AIが主役に

人民網日本語版 2025年10月09日09:30

「AI(人工知能)またはAIを活用した展示品が全展示品の50%超を占めた」「AIテーマのシリーズイベントを16件開催」「初設置のAI専門館で約1200点を展示」――先日閉幕した第22回中国—ASEAN博覧会は成果が豊富で、かつてないほどの「AI含有量」が、中国—ASEANのより緊密な運命共同体に新たな活力をもたらしている。人民日報海外版が伝えた。

中国—ASEAN博覧会事務局によると、今回のAI専門館では、大規模言語モデル約20種、スマートロボット60種、デジタルサービスプラットフォーム/システム230種、AI端末製品520種が展示され、商談成約額は1億4000万元(1元は約21.4円)を超えた。

博覧会の会場を歩くと、ロボットが油茶(ユチャ)を作り、AI眼鏡がリアルタイム翻訳を行い、自動運転車が走る……AI要素が至る所に散りばめられ、さまざまな画期的な技術が次々と登場していた。

油茶を作るロボット

今回の中国−ASEAN博覧会の桂林「魅力の都市」展示では、智平方社のロボットアーム「愛宝」がしなやかに動き、茶槌を正確に操り、無形文化遺産の伝承者と協力して広西の伝統技法「油茶作り」を披露し、観客を驚かせた。

「愛宝」は油茶だけでなく、AI展示エリアでは「万能店員」となり、コーヒー、アイスクリーム、特製ドリンクの調理も行える。注文、カップ受け取り、調合、提供までを約1分30秒で一気に完了させる。さらに芸術やパフォーマンスもこなし、ドラム演奏で「大地飛歌」を披露。力強いリズムで、0.375秒ごとに一回の打撃を行い、0.75秒での切り替えを実現した。

こうした「愛宝」の多才ぶりは、智平方が独自開発したエンボディド大規模言語モデルGOVLAによるものだ。従来のロボットの単一シーンの制約を打破し、タスクや環境をまたいだ汎用的な知能を備えている。展示会場で注目を集めるだけでなく、自動車製造、半導体、物流など実際の場面でもすでに活用されている。

「匂いを感じる桂林」を体感

桂林展示エリアでは、AI映像「桂林の香」が観客に「匂いを感じる桂林」を届けた。首掛け式のデジタル匂い発生器を装着するだけで、映像に合わせて米粉、キンモクセイ、油茶、里芋の4種の香りが次々と感じられる。

杭州気味王国科技有限公司の創業者兼CEO・黄剣炜氏は、「今回の香り創作は人とAIの協働の実践だ。技術者は実際に油茶を飲む必要がなく、言語表現から抽出したキーワードを大規模AIモデルが解析・配合し、最終的に再生可能な匂いデータを生成できる」と説明。

黄氏によれば、大規模AIモデルの意義は、ユーザーの感覚と専門的な調香の隔たりを取り払うことにある。専門用語を知らなくても、日常言語で香りを表現すれば、AIが「翻訳」して配合し、「指示通りの香り」を生成してくれる。

「エアドラム」で演奏体験

ドラムスティックを空中で振るだけで、正確なドラム音を奏でられる――AI専門館で展示された「エアドラム」は多くの来場者を魅了した。会場にはリズミカルな演奏が響き渡り、拍手が沸き起こった。

深セン感音科技有限公司が開発したこの革新的な楽器は、空間測位アルゴリズムとスマート認識システムにより、スティックの軌跡を正確に捕捉し、7つのドラム位置と2つのフットペダルを認識し、従来のドラムセット(5ドラム4シンバル)の構成を完全に再現する。ブース前では多くの来場者が挑戦し、技術者の指導を受けながら「実体のない演奏」を体験していた。

​メガネに内蔵されたスピーチ原稿

AI専門館の邁越科技社の30平方メートルに満たないブースには人だかりができていた。注目の的はAI眼鏡だ。

このAI眼鏡は数十億件のコーパスを蓄積し、モデル訓練とデータ管理を経て138言語を翻訳可能。ASEAN10カ国の少数言語の認識精度は90%に達する。報告や演説のプロンプター、多言語翻訳、さらには大規模AIモデルとのインタラクションにも利用できる。内蔵ディスプレイで原稿を確認し、ジェスチャーによるスライドで自由にページをめくれる。

邁越科技社の李常青会長は、「すでにタイのバイヤーが1000本を予約し、地域行政サービス用の装備として導入予定だ」と語り、「もっと多くの広西企業が優れた製品を東南アジアにPRしてほしい」と期待を寄せた。

AIが主役となった今回の中国−ASEAN博覧会は、技術感満載で驚きが絶えなかった。多くの観客は「中国のスマート製造」の力をはっきりと感じ、より多くの先進技術が日常生活に浸透することを期待している。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年10月9日

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