中国の科学調査隊、北極有人深海潜水任務を完遂

人民網日本語版 2025年10月28日15:17

自然資源部(省)と中国科学院が共同で組織し、中国科学院深海科学・工学研究所が主導する北極有人深海潜水任務の科学調査隊が2025年10月27日に無事帰還したことが、自然資源部への取材で分かった。今回の任務では、中国が独自に設計・建造した世界初の砕氷能力を備えた有人深海潜水作業支援母船「探索3号」および有人潜水艇「奮闘者」号を使用した北極圏有人深海探査任務を遂行していた科学調査隊が、無事に帰還した。奮闘者号は北極で計43回の潜水作業を行い、有人潜水艇「蛟竜」号との水中共同作業を実現し、中国の有人潜水艇2隻による水中共同作業モデルを革新した。人民網が伝えた。

北極海域で任務を遂行する科学調査船。画像提供:自然資源部

北極海域で任務を遂行する科学調査船。画像提供:自然資源部

北極有人深海潜水科学調査隊は今年7月22日、海南省三亜市を出航し、蛟竜号チームとともに北極海へ向かった。今回の航海は、自然資源部が主要な責任を担い、中国21世紀議程管理センターが管理する「第14次五カ年計画」(2021-25年)国家重点研究開発計画「深海・極地の重要技術と装備」重点プロジェクトの一環として実施された。航海は98日間にわたり、総航行距離は1万5000海里を超えた。調査隊は北極海で56日間活動し、氷海域では1989海里を航行。一連の科学調査や技術試験を行うとともに、奮闘者号と計43回の潜水作業を成功させた。また、蛟竜号チームは中国として初めて北極氷海域での潜水を実施するとともに、奮闘者号との水中共同作業を行った。両潜水艇は水中での位置特定・捜索、マーカーの交換、水中撮影などを共同で実施した。

とりわけ、海氷被覆率80%を超える中央海盆では、世界初となるガッケル海嶺域での有人深海科学潜水が行われた。奮闘者号は29日間で32回の潜水を実施し、1回当たりの平均水中滞在時間は9時間超、平均海底作業時間は6時間超、最大潜水深度は5277メートルに達した。潜水作業は白夜・極夜、融氷期・結氷期といった厳しい環境下で行われ、低温や強風などの困難を克服した。

探索3号と奮闘者号が持つ高精度かつ安定した運用能力を生かし、調査隊は貴重な海水、堆積物、岩石、生物など多様なサンプルを採取し、大量の観測データを取得した。これらの成果は、北極の気候の急速な変化や北極の超低速拡大の背景にあるガッケル海嶺域の海底地質過程、極域生物の進化と適応メカニズムの解明に向けた重要な科学的基盤となるだろう。

今回の航海は中国の第15次北極海科学調査に組み込まれ、16の研究機関、大学、企業から80人余りの科学調査隊員が参加した。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年10月28日

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