「2025年度流行語トップ10」が発表 「蘇超」やエンボディドAIがランク入り

中国の語言文学雑誌「咬文嚼字」編集部はこのほど「2025年度流行語トップ10」を発表した。トップは「韌性(レジリエンス)」で、「蘇超(江蘇省都市サッカーリーグ)」や「賽博対賬(サイバー照合)」などもランクインした。これらの流行語には、今年の重要な出来事や社会の話題などが反映されている。
1、韌性(レジリエンス)
中国語の「韌性」は本来、物体が外部からの力を受けた時に、形を変えることで、破壊されることを避ける性質や、強くて粘り強い精神や強固で不屈の意志を指す言葉だ。流行語となった「韌性」はこうした生態学の用語に由来しており、「弾力性」、「回復力」、「耐性」を指す。
2、具身智能(エンボディドAI)
中国語の「具身智能」は物理的な身体を持つエンボディドAIを指し、これは大規模言語モデル「DeepSeek」などの人工知能(AI)とは異なる。エンボディドAI(人型ロボットなど)は、物理的な身体と物理的環境との動的インタラクション、自律学習、進化を通して、認知、意思決定、行動の一体化を実現している。エンボディドAIの登場は、AIが新たな発展の段階に突入したことを意味している。
3、蘇超(江蘇省都市サッカーリーグ)
中国語の「蘇超」は、江蘇省都市サッカーリーグの略称だ。5月10日に開幕した同リーグは爆発的な人気となり、2025年度において、中国で最も話題となったアマチュアスポーツ大会となった。同リーグは、国民の幅広い参加、文化的共感、経済的推進力といった複数の要素の融合に成功し、中国のアマチュアサッカーリーグの発展の新たなベンチマークとなっている。「蘇超」のスタイルは、中国の多くの省と市の注目を集め、多くの地域が「○○超」というネーミングのサッカーリーグを開催、または開催を計画している。「蘇超」の成功は、中国のアマチュアスポーツ大会の驚異的な活力と発展のポテンシャルを示しているほか、スポーツ強国建設の成果の生き生きとした体現ともなっている。
4、賽博対賬(サイバー照合)
中国語の「賽博対賬」の「賽博」は「サイバー」を音訳した中国語の単語で、インターネットと関係のある単語となる。一番初めにこの単語が登場したのはSF作品やコンピューター科学文献だ。「対賬」は、帳簿を照合するという意味の中国語で、情報の格差から生じる誤解や偏見を避けるために、自分の経験したことや見聞きしてきたことを「データ」として、相手と照合し合うことを意味している。そのため「賽博対賬」は、異なる国の人々の情報交流と文化的相互理解に一石を投じる手法となるだろう。
5、数字游民(デジタルノマド)
中国語の「数字游民」は、場所にとらわれずに、近代的情報技術を活用して、リモートで働き、優れた自己管理能力を備えた人々「デジタルノマド」を指す。若者を主とするデジタルノマドは、ソフトウェアの開発やコンテンツ作成、クリエイティビティデザインといったイノベイティブな仕事に携わっていることが多く、場所にとらわれることがないため、自由にいろんな所に行くことができ、従来の職業の地理的制限を打破している。デジタルノマドは、生活費の安い地域を選んで生活し、収入と支出の構造を最適化し、仕事と生活のバランスをうまく取っている。こうした新しいワークスタイルとライフスタイルは、世界中の若者の間で人気を集めるようになっている。デジタルノマドを対象としたビザ関連政策、税金の面での優遇政策を打ち出している国も多い。
6、谷子(グッズ)
中国語の「谷子」は、元々商品を意味する「グッズ」を音訳した単語となる。中国で流行語として使われている「谷子」は、アニメやゲームといった二次元文化関連のポスターやカード、ストラップ、アクリルスタンド、フィギュア、缶バッジといったグッズを指す。「谷子」は元々、二次元文化といったサブカルチャーのマニア間で流行していたものの、近年は徐々に大衆市場でも存在感を示すようになり、若者の間での人気が高まり続けている。「谷子」が爆発的人気となり、そのデザインや製造、販売、物流、イベント、ひいてはコレクションといった分野において未曾有の活力が引き出され、「谷子経済」と呼ばれる産業形態まで誕生した。
7、預制〇〇(出来合いの〇〇)
中国語の「預制」は元々、「事前に作っておく」という意味の単語で、調理済みの食品を指す「預制菜」といった使われ方をされていた。それが今年の流行語になったのは、大手飲食店チェーン「西貝」に調理済み食品を温めて提供しているのではという疑いがかけられ、ネット上で大きな話題となったことと密接な関係がある。それを機に、人々は「預制」という単語を使って、標準化、マニュアル化、個性のない人や物を表現するようになった。例えば、「預制人」とした場合、現代社会の教育システムや職業システムにおいて、まるで調理済みの食品を生産するかのように、大量生産された人材を指す。
8、活人感(リアリティ感)
中国語の「活人感」は、個人がソーシャルメディアや日常生活において表現するリアルで生き生きとした様子を指し、見る人に「リアリティ感を感じられる生き様」を直観的に感じさせてくれる。スマート時代に突入している今、ソーシャルメディアには、巧みに加工された画像やプログラム化された文章があふれており、これらのコンテンツはアルゴリズム解析やPRを経て、飾られただけの見せかけの「完璧な人生」が演出されている。AIが人間の言葉や行為の模倣をよりリアルにさせていくにつれて、人間が生まれつき持つ不完全ながらもリアルで、ありのままの様子がますます貴重になっている。多くの人が「活人感」を求めるようになっているのは、「ありのままの状態」や「飾らない生活の状態」に戻りたいと感じているからだ。
9、〇〇基礎、〇〇不基礎(〇〇をベーシックに、〇〇をノンベーシックに)
あるコーディネート系ブロガーがソーシャルメディアに「ベーシックな服で高級感を出す公式」というタイトルの動画を投稿し、「コーディネートのオシャレ感をトータルでアップさせたいなら、全身をベーシックアイテムにするのは避けるべき。例えば、トップスをベーシックにしたら、ボトムスはノンベーシックにするのが、コーディネートの原則」と書き込んだ。その後、ネットユーザーたちは、その原則を使って、日常生活のありとあらゆるものを表現するようになり、ネット上で瞬く間に話題を集めた。これは「基礎」と「不基礎」という鮮明な対比を活用することで、そのギャップをユーモラスに表現し、人や物事などを自虐的に褒めたり、自分の状態をユーモラスな自虐ネタにする際に使用されている。
10、従従容容、游刃有余(悠然と、余裕綽々)
匆匆忙忙、連滾帯爬(慌てふためき、必死にもがく)
台湾地区のある公職者が、オーバーなボディランゲージと抑揚に満ちた口調で、台北市政の混乱を、「悠然と、余裕綽々であるべきなのに、今は慌てふためき、必死にもがいているかのようだ」と批判した。インターネットに流れたその動画を中国大陸部のミュージシャンが歌詞に使い、「没出息」という曲を作った。その癖になるメロディーと歌手の見事な感情表現が話題となり、たちまちネット上で人気となったほか、両岸のネットユーザーの間で、その模倣や「二次創作」がブームになった。さらに、ネットユーザーは、「従従容容、游刃有余」と「匆匆忙忙、連滾帯爬」というフレーズを使って、理想の状態と現実の窮状のギャップを自虐的に表現するようになった。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年12月5日
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