雑談・歩行補助・見守り…介護ロボットが温かくスマートな高齢者ケアを実現
高齢者介護と言えば、従来は介護士の細やかな世話や家族の付き添いが思い浮かぶだろう。しかし現在では、思いもよらないところで介護ロボットが静かに高齢者の暮らしに入り込み、「テクノロジー介護の相棒」になっている。中央テレビニュースが伝えた。
広東省深セン市のある介護施設には、大小100台以上の介護ロボットが導入されている。高齢者が雑談したり、歌ったり、踊ったり、将棋や囲碁をしたりする際、いつもロボットが「相棒」として寄り添っている。
この介護施設には460人余りの高齢者が暮らし、介護士1人が平均して少なくとも3人を受け持つ。今やロボットが加わったことで、その負担が大幅に軽減された。
丸みを帯びた手のひらサイズのロボットは、施設の「実習生」で、高齢者の日常動作を見守り、介護スタッフの「電子分身」として働いている。開発企業は高齢者向けの特定シーンに合わせた姿勢認識アルゴリズムを多数搭載しており、緊急事態が発生するとロボットが即座に検知し、緊急通知を発信することで突発的な状況を迅速に対処できる。
2024年末時点で、深センの60歳以上の常住高齢者人口は157万8000人。2029年には257万8000人に達すると見込まれ、若い都市と言われた深センは高齢化社会へと移行しつつある。しかし、このイノベーション都市では、高齢者とテクノロジーが新たな可能性を生み始めている。
梁彩棠さん(93歳)は、日中の大半を車椅子で過ごしている。彼女が入居する介護施設には96人が生活し、平均年齢は86歳超、97%が中・重度の要介護や認知症の高齢者で、ほとんどが立ち上がれず、歩くこともできない。
最近、この施設に「ビッグベイビー」と呼ばれる下肢外骨格ロボットが導入された。両脚と両足を固定し電動シートに支えられると、ゆっくりと「立ち上がる」ことができる。梁さんはその助けを借り、廊下を散歩できるようになった。
このフレーム式外骨格ロボットのほか、携帯型のロボット補助具もある。李桂英さん(87歳)はこれを装着すると杖なしで歩行訓練が可能になった。
深センの別の介護施設では、長期にわたり寝たきりの中度から重度の要介護者の排泄ケアを「排泄ケア用スマートロボット」が担っている。高齢者が排泄するとロボットがすぐ検知して処理を開始し、洗浄・乾燥・脱臭まで自動で行う。処理にかかる時間はわずか2〜3分で、臭いの拡散も効果的に防げる。
スマート介護、テクノロジー介護は今、多くの研究機関が注目する重点分野になっている。今年5月、深セン市龍崗区には全国初の人工知能(ロボット)署が設立され、ロボット産業の発展と実用化シナリオを体系的に推進している。同署は、AIとロボット産業に特化した初の政府直属機関として、人とロボットが共生する「実証実験場」の構築を進めている。
現在、介護ロボットの大半は「施設専用」として運用されている。介護施設は高齢者が最も集中し、介護の種類や難易度が最も多様で複雑な場所で、大規模な試験訓練場のような存在だ。ロボットは高齢者とのやり取りの中で進化し続け、高齢者も適応と学習を通じて、テクノロジーがもたらす小さな変化を感じ取っている。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年12月5日
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