【六大未来産業(6)】スマート社会の「神経中枢」を構築
「第15次五カ年計画(2026~30年)」提案は、「先見的に未来産業の布陣を敷き、多様な技術ルート、典型的な応用シーン、実現可能なビジネスモデル、市場規制・監督ルールを模索し、量子科学技術、バイオマニュファクチャリング、水素エネルギーと核融合エネルギー、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、エンボディドAI、第6世代移動通信(6G)等を新たな経済成長分野にしていく」ことを打ち出した。中国は積極的に未来産業を育成して、質の高い発展に新たな原動力を注入し続けている。このほど記者は、関連分野の研究者や企業経営者に未来産業の「現在進行形」について取材した。人民日報が伝えた。

【第6回】黄永明・紫金山実験室広汎性通信研究センター長/東南大学教授
■スマート社会の「神経中枢」を構築
5Gと比べると、6Gは単なる伝送速度の向上にとどまらず、通信とワイヤレスセンシング、先進的コンピューティング、人工知能(AI)などの技術を一体化した「モバイル情報ネットワーク」となる。5Gが「IoE(万物のインターネット)」に重点を置いたのに対し、6Gはこれらの技術を領域を跨いで融合した「AIoT(モノの人工知能)」の実現を強調する。
通信速度、遅延、信頼性の面で、6Gは5Gと比べ10倍から100倍向上し、空中・宇宙・地上・海上を網羅する接続能力を形成し、未来のスマート社会の発展を全面的に支え、社会と工業企業のデジタルトランスフォーメーションを支える「神経中枢」となる。
6Gの特徴は「1つの究極、3つの融合」に具現化される。すなわち、「ユビキタスなネットワーク化された究極の接続」を基礎とし、「通信・センシング・コンピューティング・AI・制御(DOICT)のクロスオーバー融合」「衛星と地上通信の融合」「デジタル世界と物理世界の融合」という3つの新たな方向性を発展させる。
工業分野では、6Gは工業設備やセンサーなどの膨大な端末のリアルタイムデータ伝送を実現するだけでなく、高精度工業制御とフレキシブル生産を支えるものとなる。車載ネットワーク分野では、6Gはスマート交通の頭脳としての役割を果たし、リアルタイムで信頼性の高い車両と道路の協調を実現し、自動運転の安全性と効率を大幅に高めるものとなる。低空域飛行活動による経済形態「低空経済」分野では、6Gは高密度な低空域飛行体の連続的かつ信頼できる通信、高精度センシング、様々なシーンでの効率的作業の実現を支えるものとなる。
すでに中国は6Gの研究開発で先行者としての優位性を構築し、応用シーンの検証と標準化作業への取り組みを加速している。紫金山実験室は2025年、江蘇省南京市の紫金山科技城に初の6G通信・AI・センシング融合屋外試験ネットワークを構築した。衛星インターネットの構築と応用も加速しており、「携帯電話の衛星直接接続」技術が徐々に一般向け商用サービスへと歩みを進めている。
今年は6Gの標準化元年であり、2030年頃には中国で商用化が実現する見通しだ。我々は、6G技術の研究開発と応用を加速させ、実務的姿勢で技術検証とエコシステムの構築を推進し、旺盛なデジタルの原動力を中国式現代化に注入していく。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年12月8日
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