中国のネット文学38作品が大英図書館収蔵へ その魅力とは?

人民網日本語版 2026年01月27日09:09

東南アジアのカフェや北米の図書館、欧州の地下鉄の車両、ラテンアメリカのアフタヌーンティーに至るまで、スマホを使って、中国のネット文学を楽しむ人を目にすることができるようになっている。デジタル時代に誕生し、中華文化という肥沃の土地に根差した東洋の物語は今、勢いある文化的トレンドとなっている。人民日報が伝えた。

重慶出版社から刊行された中国の作家・意千重の作品「国色芳華」。

重慶出版社から刊行された中国の作家・意千重の作品「国色芳華」。

中国のネット文学の世界的人気の源は、東洋の物語を描く卓越した能力だ。これらの東洋の作品には、武侠や仙侠といった特定のテーマの作品だけでなく、師を尊び教義を重んじる精神や故郷への思いといった中華文化の精神的奥深さが込められており、世界の読者が共感できる作品もたくさんある。これらの作品は、伝統的な哲学や知恵を現代的価値観とうまく組み合わせ、紆余曲折ある感動のストーリーを通して、成長、奮闘、正義といった、世界のどこに住んでいる人でも共感できるテーマを描き出している。

2025年12月、中国ネット文学作品12作品が、世界最大の学術図書館である大英図書館に収蔵された。中国のネット文学作品が同図書館に収蔵されるのは、2022年と2024年に続いて3回目で、その総数は38作品となっている。文化の質やテキストの価値を深堀りし続ける中国のネット文学が今、海外の文化評価体系で徐々に幅広く認められるようになっている。

今回、大英図書館に収蔵された12作品は、SFやサスペンス、歴史、恋愛など多くの分野をカバーしているほか、作家の実力が非常に高いことは注目に値する。例えば、作家・柯遥42のSF小説「為什麼它永無止境」は中国の2025年「銀河賞」の「最高オリジナル図書賞」を受賞し、「重生之将門毒后」の作家・千山茶客や「国色芳華」の作家・意千重、「九重紫」の作家・吱吱、「偽像報告」の作家・須尾俱全などの作品は、過去にも大英図書館に収蔵されている。中国の作品が海外で高く評価されるようになっているのは、中国のネット文学の作家が、しっかりとした表現力や見事な想像力、時代に合わせて進化する創作コンセプトを強みにして創作し、海外の読者が共感を覚え、口コミが広がっているからだ。

これまでずっと、長編で、どんどん更新されていくネット文学は、翻訳の効率や翻訳コストが大規模海外進出を妨げる、ボトルネックとなってきた。しかし、AI翻訳技術が飛躍的に進歩するにつれて、中国のネット文学という「強大な車輪」に、AI翻訳という「強力なエンジン」が搭載されるようになっている。2025年、閲文集団傘下の海外版ポータルサイト「起点国際(WebNovel)」に新たにアップされたAI翻訳作品は1万作品以上に達し、作品の量は前年比で281%増に達した。AI翻訳が導入されるようになり、ネット文学の翻訳効率は約100倍高まり、そのコストは平均9割以上削減された。つまり、世界の読者が、ほぼタイムラグなしで、新作を読むことができるようになっているということだ。

AI翻訳が「海外進出」を阻む問題を解決し、IPのトータル全産業チェーン開発が、「いかにさらに深く、さらに遠くへ進出するか」という問題の解決策を提供している。2025年、中国のIPは、オンラインからオフラインへと範囲を広げながら海外に進出し、世界の文化観光の勢力図に完全に溶け込むようになった。エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)小説「全職高手」は、スイス政府観光局と提携して、「25年にチューリッヒで会いましょう計画」を打ち出し、小説に登場する世界選手権のシーンとスイスの実際の風景を組み合わせたことで、同小説のファン数万人がスイス旅行を楽しんだ。道家の思想とクトゥルフ神話の要素を組み合わせた「道詭異仙(Dao of the Bizarre Immortal)」は、それをテーマにしたお化け屋敷がユニバーサル・スタジオ・シンガポールに設置され、小説の世界が高度に再現された「ハロウィーン・ホラーナイト13」も開催。数百メートルの行列ができるほど大人気のアトラクションとなった。文学作品と観光をコラボさせることで、その中に描かれる美しい世界が、実際に行って体験できる現実の空間になりつつある。

今の「起点国際」には、海外のクリエイター約53万人が、自分の言語を使った作品を投稿しており、作品総数は82万作品以上に達している。作家の半数は00後(2000年以降生まれ)となっている。海外の作家は、「モンスターを倒しながらレベルアップ」や「逆襲・成長」といった中国のネット文学の表現スタイルを参考にしながら、現地の文化的要素や社会問題を取り入れている。そして、こうした作品を、世界のユーザー4億人が楽しんでいる。

中国のネット文学の模索は、世界の文化交流に特色あふれる中国のアプローチを提供している。西側のハリウッド式の資本と産業の標準化を主導としたスタイルと異なり、開放的で包容力を備えた姿勢で、国境を越えて、人々の感情を繋ぎ、世界中で、その想像から生まれる力を行き来させ、融合させている。中国のネット文学の海外進出の新たな船出は、物語がおもしろければ、どこの国や地域の人が書いたかに関わらず、世界で思いを一つにする仲間を見つけることができるということを裏付けている。今後を展望すると、中国に端を発するこの文化の新トレンドは、文明の相互参考を促進しながら、さらに素晴らしい章を切り開いていくだろう。(作者・肖映萱:山東大学文学院准教授)(編集KN)

「人民網日本語版」2026年1月27日

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