北京の「天壇」に秘められた中国の哲学 「和而不同、美美与共」

人民網日本語版 2026年05月15日16:25

北京市には、数百年もの風雨に耐えてきた伝統ある建築物群があり、終始輝きを放ち、注目を集めている。その敷地面積は273万平方メートルで、規模は故宮の4倍に達し、現存する世界最大の古代祭祀(祭天)を行う建築物群となっている。中国新聞網が伝えた。

その建築物群とは、明朝の永楽18年(1420年)に建造が始まり、600年余りの歴史を持つ「天壇」だ。

1998年、天壇は国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界遺産」に登録された。そして、2024年7月には、「北京中軸線:中国の理想的な都城秩序の傑作」の中核要素として再び「世界遺産」に登録された。

「中国に行ったら、必ず天壇を見学してほしい」と言う人がいる。なぜなら天壇は中国の古代哲学の思想が色濃く表現された建築物で、中国人の宇宙観も具現化されているからだ。

天壇は、古代、皇帝が豊作を祈願して祭祀を行う場所だった。中華文明は一環して、天と人は本来一体であるとする「天人合一」や、道は自然に法るとする「道法自然」という思想を非常に重んじ、人と自然が調和よく共生することを追求している。

天壇の祈年殿は、哲学的思想を最も巧妙、かつ包括的に具現化した建物となっている。

祈年殿の瓦の色は青い空を象徴する青だ。「殿」の形は円形で、「円い天」を象徴し、天は円く、地は方形であるという古代中国の宇宙観が反映されている。

大殿の半球形の天井を支える28本の柱は、古代中国において天空を28の区画に分け、月や太陽などの位置や暦注に用いた星座体系「二十八宿」を象徴している。

柱の並べ方も非常に興味深い。中央の4本の龍井柱は春、夏、秋、冬の四季を、内側に円形に並ぶ12本の金柱は12ヶ月を、外側を円形に並ぶ12本の檐柱は1日をおよそ2時間ずつの12の時辰に分ける時法「十二時辰」を象徴している。内側と外側の柱は合わせて24本となり、ちょうど1年の二十四節気に対応している。

ここでは「時間」と「空間」が一つの屋根の下に濃縮されている。四季や12ヶ月、二十四節気の移り変わり、二十八宿の運行など全てがそこに凝縮されている。

それは、何も考えずに無秩序に作り出された空間ではなく、和して同ぜずという意味の「和而不同」という思想の最高の象徴と言えるだろう。差異が大きい万物は、精巧な秩序において、それぞれが自分の役割を果たし、共生し、共に繁栄することができる。

1998年、ユネスコの世界遺産委員会は、天壇を「世界遺産」に登録した際、「世界の偉大な文明の一つの発展に影響を与えた極めて重要な宇宙観を自然、かつはっきりと表現している」と評価した。

天壇を見学すると、中国文化における「人と天地、人と万物、人と人の間にある秩序」を理解することができるかもしれない。それは、「和而不同」という言葉に詰まっている包容力、「天人合一」という言葉に詰まった知恵、さらに600年以上経った今でも依然としてこだまし続ける文明の謎を解くカギなのかもしれない。(編集KN)

「人民網日本語版」2026年5月15日

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