中国、初めて宇宙でイネを2世代連続栽培へ

人民網日本語版 2026年05月27日10:43

5月24日、有人宇宙船「神舟23号」の打ち上げが成功し、イネの種子などの実験材料が中国宇宙ステーションに運ばれた。今後、中国宇宙ステーションでは「宇宙環境下におけるイネの多世代遺伝安定性および環境適応性制御の分子メカニズムに関する研究」実験が行われる。科技日報が伝えた。

今回の実験では、軌道上で初めて2世代にわたるイネ栽培を実現する。宇宙空間で「種子から種子へ、さらに次世代の種子へ」という完全な成長の閉ループ構築が期待されており、長期的な宇宙微小重力環境がイネの遺伝的安定性に与える影響を解明することが期待されている。これは将来の深宇宙探査において、現地での食糧生産実現につながる可能性を意味する。

イネの種子が宇宙へ送られるのは今回が初めてなのか。

中国科学院分子植物科学卓越イノベーションセンターの鄭慧瓊研究員は、「今回、イネの種子を宇宙ステーションに送ったが、これは中国として初めての軌道上イネ実験ではない。2022年にはすでにイネ種子が宇宙に運ばれ、種子の発芽、生長発育から新たな種子の収穫まで、完全なライフサイクルを終えた。得られた種子は有人宇宙船「神舟14号」の宇宙飛行士によって地球に持ち帰られた。

今回宇宙に送られた種子には、2種類の材料が含まれている。1つは、前回宇宙ステーションで収穫された種子を地上に戻した後、2世代連続で栽培して得られた「子孫」で、その「祖先」は宇宙環境を経験している。もう1つは、一度も宇宙へ行ったことのない通常の種子だ。

今回の実験では計4ユニットが設けられ、各ユニットには互いにバックアップとなる6粒の種子が播種される。4ユニットはさらに2グループに分けられ、それぞれイネの異なる繁殖方式に対応する。そのうち1つのグループでは有性生殖を行う。種子が成熟した後に穂を収穫し、その穂を新しい培養ボックスに移して第2世代を栽培する。これにより、有性生殖過程を経た「世代間記憶」、すなわち宇宙を経験した祖先を持つ種子が、一度も宇宙に行っていない種子よりも宇宙環境に適応しやすいかを調べる。もう1つのグループでは再生イネ方式を採用する。成熟後に地上部を根元から刈り取り、株元から再び新たなイネを発芽させることで、同一個体の生育期間を延長する。これにより、栄養繁殖と有性生殖の宇宙環境下における適応性の違いを比較する。

鄭氏は、「前回が軌道上で1世代のみの繁殖だったのに対し、今回の実験の鍵は、微小重力条件下でイネを2世代連続繁殖させる点にある。これによって重力環境の変化が世代間遺伝に与える影響を観察する」と説明した。

なぜイネが宇宙実験の対象に選ばれたのか。

鄭氏によると、他の食糧作物ではなくイネが研究対象として選ばれたのは、主に「適応性が高い」「生育期間が短い」「収穫量が比較的高い」「株の高さが比較的低いが収穫量に影響しない」という4つの原則に基づくという。今回積載されたのは、中国独自のジャポニカ米品種であり、モデルイネに属しており、その遺伝子および分子メカニズム研究の基礎が非常にしっかりしている。

鄭氏は、「宇宙で実験を行うこと自体が未知に満ちている。もし地上でも十分に解明されていない品種を選べば、未知が二重になり、結果分析が難しくなる。一方、地上研究の背景が明確な材料を選べば、宇宙で変化が起きた際に迅速に識別でき、明確な実験結論を得やすい。また、宇宙ステーションでイネを育てる最大の困難は、やはり微小重力にある。植物も人間と同様に『宇宙酔い』を起こすが、イネで得られる普遍的法則は、ある程度、他の植物にも応用可能だ」とした。

今回の実験では、宇宙飛行士は稲穂や種子を採取するだけでなく、茎葉などのサンプルもマイナス80度環境で凍結保存し、地球に持ち帰る予定だ。研究チームは、表現型と分子レベルの総合分析を通じて、微小重力が引き起こす深層的変化を研究するとともに、バイオテクノロジーによって微小重力の影響を制御できるかを探る。これは地球外環境向け品種育成の根拠となる。さらに、この種の宇宙研究は地上農業にも還元される。宇宙の極限環境は新たなストレス条件に相当し、イネに地上では観察しにくい形質を発現させ、新たな遺伝資源を発見する可能性がある。その成果は育種に活用され、乾燥耐性や塩・アルカリ耐性などに優れた新品種の育成につながる可能性がある。(編集KN)

「人民網日本語版」2026年5月27日

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