人型ロボット100メートル走を専門家が解説 なぜ最後は必ず「壁に激突」するのか

人民網日本語版 2026年08月31日13:43

北京の国家スピードスケート館「アイスリボン」で8月26日に行われた第2回世界人型ロボット競技大会の陸上100メートル決勝で、天驕チームの人型ロボットが8秒64のタイムで大型部門の優勝を果たし、天驍チームの人型ロボットが11秒98で小型部門の優勝を果たした。新華社が伝えた。

8月26日、100メートル大型部門決勝で走る天驕チーム(写真右から1番目)と天驍チーム(写真右から2番目)の人型ロボット(撮影・鞠煥宗)。

8月26日、100メートル大型部門決勝で走る天驕チーム(写真右から1番目)と天驍チーム(写真右から2番目)の人型ロボット(撮影・鞠煥宗)。

ところが、その直後の光景は一変した。競技に参加したロボットたちはゴールラインを通過しても減速せず、そのままゴールの防護壁に突っ込んだ。なかには火花を散らした末、担架で運び出されるロボットまであった。「これだけ速く走れるのに、『ゴールで減速する』のはそんなに難しいことなのか」と疑問に思う人も多いだろう。

実は、現段階の人型ロボットにとって、物理的に本当に「止まる」のは非常に難しい。高速走行中、ロボットの重心は大きく前方に傾き、両脚を交互に動かす頻度も極めて高くなる。この状態で無理に急ブレーキをかければ、巨大な慣性力によって人型ロボットはそのまま横転し、顔から地面に突っ込んでしまう。

そのため、アルゴリズムは「急ブレーキをかけて転倒し、粉々になるか、それともブレーキを弱めて、ゆっくり減速し、バランスを保つか」という難しい選択を迫られることになる。通常は後者、つまり減速自体よりもバランスを保つことを優先する。

人間のスポーツ選手であれば、ゴールの1~2秒前からペースを調整しはじめ、減速を予測して走る。しかしロボットは、センサーによって「ゴールラインを見つけて」から初めて減速のコマンドが発動される。最高速度で走っている状態では、わずか0コンマ数秒の認識遅延でも、ブレーキをかけるための時間はほぼなくなってしまう。反応した時には、すでに壁が目の前に迫っているというわけだ。

では、それほどの危険を承知していながら、なぜこうした走り方をするのだろうか。実は、競技規則を見るとその理由を知ることができる。ゴールラインの先には専用の軟質マットの緩衝壁が設置されており、ラインを通過さえすれば記録となるため、壁に衝突しても順位には影響しない。現段階における競技の核心は、まさに「加速の限界」にあり、壁への衝突は、むしろ許容される「受動的な停止方法」の一つとされている。一見すると、腰から折れ曲がったり、ひっくり返ったり、電源ボックスに衝突したりする無様な姿こそが、エンジニアたちが最も求めている限界性能のデータなのだ。

26日夜、新華社記者は「天工Ultra」ロボットの天驍チームのエンジニア、高大偉氏に話を聞いた。高氏によると、性能を極限まで引き出すため、今回は折衷的な方式を採用し、今後、ロボットの速度上限は引き上げられ続けていく見通しだという。

今大会では、人型ロボットの複数の競技種目で前大会から質的な飛躍を遂げた。400メートル走は、前大会の1分28秒03から、今大会では小型部門が45秒66、大型部門が38秒15まで短縮された。1500メートル走は前大会の6分34秒40から、今大会では2分21秒64にまで短縮された。また、垂直跳びでは、前大会の0.956メートルから3.40メートルへと大幅に記録を伸ばした。

第2回世界人型ロボット競技大会組織委員会の関係責任者は、「一つ一つのメダルの誕生は、人型ロボットが『実用化』に向けて一歩前進したことを示している。実戦によって検証し、ニーズを牽引力とすることが大会開催の初心であり使命だ。各競技におけるロボットのパフォーマンスは、多くの人々の予想を上回るものとなった」と述べた。(編集KN)

「人民網日本語版」2026年8月31日

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