「美顔加工」を拒む写真館が、それでも愛される理由

人民網日本語版 2026年10月15日10:39

北京市西城区葦坑胡同7号にある小さな写真館に行くと、「もう少し近付いて、ニッコリして。あごを少し引いて、体を少し傾けて。はい、ポーズ」という、カメラマンの張永強さん(67)の穏やかで、落ち着いた声が聞こえてくる。そして、張さんは少し前かがみになって、ファインダーをのぞき込みながら、軽くシャッターを押していた。

張さんが営む写真館で、静かに座って写真撮影の順番待ちをしている客の中には、就職活動中の若者や、記念写真を撮影しに来たカップル、他の地域からわざわざやって来た観光客などもいた。写真館には派手なセットなどがある訳でもなく、張さんは20年以上にわたり共にしてきた1台のカメラで、次々と人々を撮影し続けている。

写真業界一筋だった父親の影響で、張さんは子供の頃から、しょっちゅう暗室に入っては、現像液の中から像が浮かび上がってくる様子を見ていたという。やがて光と影の絶妙な変化が張さんの心に根を下ろし、最終的に張さん自身も写真の道を選ぶきっかけとなった。

胡同(伝統的な民家が建ち並ぶ細い路地)にある写真館は、数え切れないほど多くの人の人生の軌跡を記録し続けてきた。初めて撮影に来た時はまだ通学カバンを背負っていた子供が、十数年後に再び訪れた時には、若々しい青年に成長していたこともあった。また、婚姻届け用の写真を撮影に来た若いカップルが、数年後には一家3人でやって来たこともあった。そして胡同に長年暮らしていた高齢の女性が一人で撮影に訪れ、人生の最期に娘にこの写真を受け取るよう託し、家族にとっての心の支えにしたこともあった。写真1枚1枚には、人々の成長や家族の団らん、そして別れと亡き人への思いが詰まっているのだ。

張さんは、「一度来た客は、また来てくれる」と言う。40年以上カメラマン一筋で生きてきた張さんは、撮影業界の激変を肌で感じてきた。モノクロ写真に手作業で色を付けていた時代や暗室でフィルムを現像していた時代から、今やデジタル時代へと移行した。時代が変わっても、シャッターを押し続ける張さんは、写真を通して、時の移り変わりや味わい豊かな人々の人生を記録し続けている。(編集KN)

「人民網日本語版」2026年10月15日

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