デリバリー配達青年が撮影したちょっとした出来事が「心温まる」と評判に

巫会聡さんは北京でデリバリー配達員として働く青年だ。彼のヘルメットには小型のカメラが取り付けられている。彼は昨年の夏から、配達途中で出会った人や出来事をこのアクションカメラで撮影し、自身の個人メディアのアカウントで配信している。
今年31歳になる巫さんは河南省安陽市の出身。北京に来る前は故郷の工場の生産ラインで働いていた。北京でデリバリー配達員として働くようになり、次々と注文を受けながら、勁松エリアから双井エリアまで、古い団地から国貿オフィスビルまで駆け回り、巫さんはこのエリア一帯の「生きる地図」のようになっていったという。そうして彼は毎月約1万2000元(1元は約23.9円)を稼ぎだし、支出を切り詰め、貯金が1万元近くまで貯めた。「満足している。他の場所ならこれほど稼げなかった」と巫さん。
この仕事を数年続けたことで、巫さんは首都に暮らす人々の善良さはちょっとした出来事の中に隠されていることに気付いたという。エレベーターの入り口では、フードの入った箱を抱えて指定時間に遅れまいと急ぐ巫さんを見た高齢の女性が一歩後ろに下がり、「先に乗りなさい」と手で示してくれた。エレベーターのない建物で5階や6階まで上がると、家の前まで行かないうちにドアが開いて、高齢の夫妻が出迎えてくれた。到着する頃を見計らってドアの前で待っていたと言い、デリバリーを受け取るとお礼を言って、「早く次に行きなさい」と巫さんに促した。雨が降るとより一層人情が身にしみる。傘を差してビルの下で待っていた客は、巫さんが到着したのを見ると雨の中を駆け寄り、急いで傘を差し掛けてくれた。

こうした経験を経て、巫さんは「こんなに良くしてもらっているのだから、道で困っている人を見かけたら、今度は自分が手を差し伸べるべきではないだろうか」と考えるようになったという。
2024年の夏のある日、巫さんは商業施設の入り口でフードができあがるのを待っていた。すると高齢の男性に「お兄ちゃん!」と呼びかけられた。切羽詰まった声に驚いて振り向くと、男性の様子が尋常ではなかったという。巫さんはあれこれ考えることなく、すぐさま男性の家族に連絡し、救急車を呼び、救急車が来るまで男性に付き添った。運び込まれた病院の医師によると、男性の症状は脳梗塞の前兆だったが、迅速に対処できたため、大事に至らなかったという。
数日後、男性の家族が巫さんのもとを訪ねてきた。渡された赤い封筒には現金800元と「あなたのおかげで一命を取り留めました。ありがとう」という手書きの感謝の手紙が入っていた。
巫さんは今もその手紙を大事に持っている。この出来事があってから、バイクには応急セット、高圧ポンプ、自動車・バイク修理のツール、レインコートなど各種装備を積み込み、道で困っている人がいれば助けるようになった。

そして巫さんは昨年の夏から自分のデリバリー配達の日常を撮影してショート動画にまとめ、配達途中で出会った素敵な出来事を記録するようになった。巫さんのカメラに収められたのは、すべてリアルな日常の一コマだ。道に迷った高齢者のバス路線を調べてあげたり、突然大雨が降ったときには、商店の店先に並んだ商品を店内に運び入れるのを手伝ったりといった具合だ。巫さんにとって意外だったのは、こうした自身の目に映り記録したちょっとした出来事が、ネットユーザーの心を深く打ったことだった。巫さんのアカウントには累計260万の「いいね」が寄せられ、フォロワーは13万人に達し、一番人気の動画は再生回数が数千万回を超えた。コメント欄には、「北京で働くのは容易なことではない。心温まるエピソードをありがとう」といったメッセージが並ぶ。
巫さんは今年、コミュニティが新雇用形態で働く人向けに用意した宿舎に入居した。巫さんは、「安定した住まいを得ることができてホッとした。自分はこの街の温もりを経験した。今後はこの温もりをより多くの人に伝えたい」と語った。(編集KS)
「人民網日本語版」2026年7月13日
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