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【第42回】
中国で22年間日本語教師として活躍し続け、このほど、中国政府が外国人専門家に授与する最高栄誉賞である「友誼賞」を受賞された蛯原先生にお話を伺った。現在は北京の外交学院で教師としてご活躍されている蛯原先生。とても快活でユーモアのある方で、笑いの絶えないインタビューとなった。
最初は「え?何で?」と思いました。友誼賞をもらう人というのは、何かの分野で大きな業績が必要なんですよ。私なんか全くありませんから。(笑)
後で聞いたらやっぱり「長い」ということが一番らしいです。20年以上も中国の大学で教えている人はいないらしいですね。普通は1つの大学に4年から5、6年というところですよね。私ここの大学7年目ですから。ようするに長くいて、「ご苦労様でした」ということだと思いますね。
その前に台北の日本人学校で務めていたんですよ。私はもともと東京都の小学校の教員で、そこからたまたま台北の海外日本人学校に派遣されて。そこで3年いました。79年から80年ごろですから、大陸との関係が今ほど良くなくて、盛んに大陸の噂を聞かされましてね。それで、任期が終わったときに「見てみなきゃ」と思って(笑)それで1984年に吉林大学に行ったんです。
台北のほうはかなり神経質に考えていましたが、大陸のほうは全く大らかでびっくりしましたね。大学の指導者は、私が台北にいたという事を聞いて、「じゃあ全学生の前で台湾の実情を話してください」って。私は本当は台北にいたことすら秘密にしなければいけないんじゃないだろうかって思っていたので、拍子抜けしました。
物資がなかったですね。生活用品がね。その当時は「専家楼」の食堂で食べていたんですが、冬には青物の野菜など全くありませんでした。トイレットペーパーなど、日本から送っていましたし、ティッシュもありませんでした。みな糧票でモノを交換していました。
いえ、面白かったです(笑)私、面白がりやで。
吉林は冬なんか、マイナス20度ぐらいになります。外に立っていると足が凍りついて動けなるとかね。そういうのが面白くって。
アメリカ人の先生が門から5メートルも歩かないうちに転んで病院に担がれるとかね、考えるとすごい面白いことが多かったんですよ。全く楽しいことばかりで。
吉林では季節を惜しむということを覚えましたね。「長春」は長い春と書きます。春が短いから、春を惜しむためにわざわざつけたんですよ。長春の春は一週間くらいしかないんです。だから、一日一日、すごく季節を大切にしましたね。