行定勲監督がメガホンを取った、切なく美しい愛のミステリー映画「真夜中の5分前(中国題:深夜前的五分鐘)」が、中国で23日の封切りを目前に控え、注目度を高めている。そんな中、北京の百麗宮影城で14日午後1時、ワールドプレミアが開催され、行定監督のほか、中国の張一白(チャン・イーバイ)監督が駆けつけた。日本での公開は12月27日。人民網が報じた。
女優の劉詩詩(リウ・シーシー)や俳優の三浦春馬、張孝全(チャン・シャオチュアン)らが主演を務める同作品は、「村上春樹チルドレン」とも言われる作家・本多孝好のベストセラー恋愛小説「真夜中の5分前」を映画化した日中合作映画。ルオランと一卵性双生児の妹ルーメイ(劉詩詩が二役)、時計修理師のリョウ(三浦春馬)、ティエルン(張孝全)の4人をめぐる、切なく美しい愛のストーリーを描いている。
上海舞台にした切ない恋愛
中国でも大ヒットした「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)で知られる行定監督は、「真夜中の5分前」でも最も得意とする「恋愛」をテーマにしているが、今回は「純愛」ではなく、双子の姉妹が同じ男性を好きになってしまうという切ないストーリー。三浦春馬は、上海で時計修理を学ぶ青年の役で、中国では良く見られる電動バイクに、劉詩詩を乗せて街を走るシーンもある。切ない恋愛物語は、上海に残る独特の雰囲気を宿した街の中で展開される。行定監督は取材に対して、「上海が大好き。張一白監督の『夜上海』に出てきた夜景が好きで、上海で撮影をすることにした。上海独特の魅力を表現し、同作品の神秘的なムードを増し加えたい」と語った。
どこの国の男性も疑い深く愚か
ワールドプレミアで、行定監督は、「誰にも好きな人がいるが、『好きな人の一体何が好きなのか』というのが同作品のテーマ」と、単なる双子の姉妹と二人の男性の切ない恋愛物語ではないことを強調した。男女4人で展開される恋愛における、双子の姉妹の葛藤には、嫉妬と、相手の気持ちも分かってしまう苦悩が含まれている。行定監督は取材に対して、「自分が若い時に、勇気を起こしてひたすら愛すればいいと思っていたが、年を重ねるにつれ、愛にも『信頼』と『疑い』が存在していることに気付くようになった」と語っている。恋愛において、特に男性は、愚かな一面を見せてしまうものだ。この点、東京、北京、上海など、どこに暮らす男性も同じ傾向を持つ。同作品は、終始「不安」という気持ちを表現し、ルオランとリョウ、ルーメイとティエルンのカップル2組が経験する葛藤に、人の中に宿る「愚さ」がそのまま表現されているが、最終的には全ての疑問の答えが、「5分」に込められている。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年10月15日