990年生まれの余子豪さんは福建省漳州市出身で、大学受験で1年浪人した後、中国美術学院に第2位の成績で入学した。しかし余さんは教養科目に興味が持てず、大学では何度も追試を受けた。余さんは自分の大学生活を「努力が足りなかった」と振り返っている。中国網が伝えた。
小さい頃からマンガが好きだった余さんは、一番尊敬する漫画家を日本の松本大沢とイタリアのSergio Toppiだと語る。彼らは単純なストーリーではなく、純粋に芸術性と真摯なテーマを追求している、と語る。大学在学中に余さんもマンガを2作品描いたが、いずれも満足していない。
勉強のため、余さんは卒業時に新聞社のイラストレーターやバーのバーテンダーとして就職し、余暇の時間が比較的充実しているからだとも考えた。しかし卒業して勉強の雰囲気から離れることを恐れた彼は、大学に残ることを決め、図書館の警備員に就職した。警備員は早起きが必要なので、だらけることもない。また図書館が勤務場所なので、毎日学習する学生を目にすることで、自分に喝を入れることもできる。
毎日朝7時半に余さんは図書館へ行き、ドアを開ける。学生は一般に8時半以降にやってくる。勤務中は本を読む時間はなく、学生向けに貸し出しカードの手続きや忘れ物をしないようにチェックしたりと仕事に追われる。午後5時に仕事が終わると、余さんは図書館で本を読む時間を持てる。同僚の警備員は余さんの読書好きを「彼は一生警備員で終わるような人間じゃない。必ず何かを成し遂げる」と語る。
余さんは本来、大企業で働くチャンスもあった。彼が同級生3人と制作した卒業制作のオンライン作品「憤怒のバレエ」は大学の卒業デザイン作品の銀賞を受賞し、また網易が開催したコンテストで3等賞を受賞している。余さんの在学時の担任教師、梁氏は余さんを「勤勉で才能と情熱があり、決まりにとらわれず、自分の興味あるものには深い知識を持つ」と評している。
警備員としての余さんの月収は1800元(約3万4000円)で、時々絵を描くアルバイトを受けることがある。アルバイトは1時間100元(約1900円)相当の「友だち価格」だ。収入は少ないが、余さんは非常に充実し、楽しいと語る。将来について余さんは、「少なくともあと1年は本を読んで、その後は自転車で中国を一周したい」と語る。
余さんは節約のため、大学近くの農家で間借りしており、10平方メートルほどの部屋の家賃は月350元(約6700円)、水道代が10元(約190円)で、電気代は自分で負担する。寝具は友人がくれたものだ。(編集YH)
「人民網日本語版」2015年3月3日