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映画「カノン」の雑賀監督と佐々木希・インタビュー
心に刻まれた「カノン」の音色が紡ぐ家族の絆

人民網日本語版 2017年04月21日08:32

映画「カノン」の雑賀俊朗監督と主演女優の佐々木希

第7回北京国際映画祭が4月16日に正式な開幕を迎え、同映画祭の特別企画である「2017北京・日本映画週間」のオープニングセレモニーも17日、北京万達国際影城で開催された。今回、同映画祭コンペティション部門・天壇賞に日本映画を代表してノミネートされたのは映画「カノン」。

映画「カノン」は上海国際映画祭日本映画週間2013招待作品「リトル・マエストラ」(主演・有村架純)を手がけた雑賀俊朗監督によるファン待望の作品だ。

同作品は富山、金沢、東京にそれぞれ住む三姉妹が、祖母の葬式のために集まった際に、死んだと聞かされていた母親がアルコール性認知症を患いながらも生きていることを知り、絆を確かめ合いながら成長していく過程を描いている。

中でも、三姉妹を演じる女優のミムラ、比嘉愛未、佐々木希の3人が実際にパッヘルベルの「カノン」をピアノで演奏するシーンや、ロケ地となった富山県黒部市の美しい景観などは、今回同映画祭の特別ゲストとして訪中した雑賀監督と佐々木希が共に薦める最大の見所。

今回人民網は、雑賀俊朗監督と主演女優の佐々木希にインタビューを行った。

人民網:この度は、映画「カノン」の北京国際映画祭天壇賞ノミネート、誠におめでとうございます。中国ではまだ未公開の「カノン」ですが、中国のファンに向けて、映画の内容と見どころの紹介をお願いします。

雑賀監督:祖母の葬儀で受け取った遺言をきっかけに、三姉妹が死んでいると思っていた母親が実は生きているということを知り、三姉妹が19年間離れていた母親の人生を知る旅に出るという内容です。

佐々木希:見どころは老舗料亭の女将役を演じるシーンもそうですが、なによりも三姉妹でピアノを弾くシーンが心情的にも、天気の上でも、晴れたシーンとなりました。あのシーンは思い出すだけでも泣けてくる本当に素敵なシーンになったと思います。

 

人民網:この映画を撮ろうとしたきっかけをご紹介ください。

雑賀監督:「2013上海・日本週間」でも上映された前作「リトル・マエストラ」も北陸地方の石川県で撮影しており、もう1本北陸で映画を撮って欲しいという皆さんからの希望がありました。

またちょうどその時期、母が脳梗塞で倒れ、亡くなるまでの1年間痴呆症となり、大好きな家族や子供の名前も顔もわからない状態になりました。私もドラマなどで、そのようなシーンを撮ることはありましたが、実際自分の身に降りかかって来るとは思っておらず、それがすごく切なかったです。そしてそれをいつか作品にしたいと思い、北陸で第2作目を製作するきっかけとなりました。

 

人民網:佐々木さんは作品中で三姉妹の三女を演じられましたが、この役柄はご本人と似ている点などありましたでしょうか。

佐々木希:三姉妹ではないのですが、上に兄が2人いる三人兄妹の末っ子なので、末っ子ならではの自由奔放さや、思ったことはすぐ言ってしまう熱くて、まっすぐなところは、ちょっと似ていると思います。

人民網:佐々木さんをこの役に選んだ理由をお聞かせください。本作品での佐々木さんの演技について、監督の評価をお願いいたします。

雑賀監督:プロデューサーと主役の三姉妹には透明感のある女優がいいと探している過程で、自分たちの天真爛漫さと元気さという三女のイメージにピッタリだったのが佐々木希さんだったので、希望に添ったキャスティングができたと思っています。

佐々木さんは現場で注文を付けるより、伸び伸びと演じさせた方がいい雰囲気が出ることはわかっていました。撮影前に三姉妹でピアノのレッスンや脚本の読み合わせをしていく過程で徐々に三姉妹が形成され、現場に入った時にはもう三姉妹が出来上がっていて、このピアノの特訓と撮影前の時間が大切だったと思います。

佐々木希:本番までに三人がたくさん会えたのがよかったです。

 

人民網:映画の中で、鈴木保奈美さんがアルコール性認知症を患った母親役を熱演したシーンが印象的でしたが、共演者のとして、どのように思いましたか。

佐々木希:初めて母親と会うシーンを撮影した時に、映画の設定でも母親とは近すぎてはいけない壁がある役だったのと、距離感を大事にされていると感じたので、現場ではほとんどお話することはありませんでした。でも撮影後に話しかけたら、とてもチャーミングな方で、そのギャップにキュンとしてしまいました。

 

人民網:ミムラさんと比嘉愛未さんが長女と次女を演じられましたが、撮影時の印象はいかがでしたか。

佐々木希:責任感のあるしっかりした長女と、姉と妹の間で様子をうかがう次女に、自由奔放な妹の私は、現場でも撮影の合間にも甘えさせてもらい、すごく居心地がよかったです。撮影の合間はおしゃべりをしても、ふと会話がとまっても、ホッとする雰囲気で、本当の姉妹になれたように感じました。

人民網:本作品では富山、金沢、東京を舞台にストーリーが展開していきますが、この三つの土地を選んだ理由をお聞かせください。

雑賀監督:ちょうど新幹線で行くことができて、三姉妹にとってバランスのいい距離だったので選びました。

また、富山県黒部市から帰る新幹線の中で、地図を見たときに、立山連峰という険しい山から三本の大きな川が流れ、富山湾という母親の子宮のような優しい海に流れ込む様子から、険しい道を乗り越え、最後三姉妹がひとつになるという絵が浮かんだので、プロデューサーと話して、黒部市に決めました。

 

人民網:映画では、タイトルにもなっている「カノン」が思い出の曲として登場しています。この曲を選んだ理由をお聞かせください。また、思い出の一曲を教えてください。

雑賀監督:音楽療法士に老人ホームなどで痴呆症の人たちに思い出の曲を聴かせると記憶が一瞬蘇るというのを聞いていたので、最後三姉妹が母と思い出の曲を弾くという設定はストーリー作成時、先に決めていました。思い出の曲の候補をいくつか提案し、調べていくうちに、カノンがバイオリン三重奏からできたことを知り、三姉妹で繋がっていく感じがしました。また、ほかの候補曲よりも音色が心地いいことから、カノンを思い出の曲として選びました。

佐々木希:母親の会社または実家の電話のどちらかの保留音がカノンだったので、幼い頃に母に会いたくなった時に流れる音楽だったことを覚えています。そのため私にとっても、カノンは胸がギュッとするような思い出の曲です。ピアノで弾いている時も鳥肌が立ったり、いろんな意味でいい曲だと思います。

人民網:次の質問は佐々木さんの中国のファンの皆さんから挙げられた質問となります。女優とモデルとして活躍されていますが、今後何かチャレンジしてみたいことなどございますか。

佐々木希:新しい役柄にチャレンジしたいです。たくさんありますが、働きながら恋に葛藤するような役や、もう29歳なので母親役もやってみたいです。またコメディーやアクションだけでなく、中国映画など海外映画にも出演したいというように、野望はたくさんあります。

 

人民網:お肌がとてもきれいですが、多くの女性ファンにその美しさの秘訣を教えてください。

佐々木希:保湿はもちろんですが、水を1日2リットル飲んで内側から、水分をしっかり摂っています。あとはストレスを溜めず、充実した日々を送ることです。適度にストレスの発散をしつつ、お肌のケアを頑張っております。

 

人民網:最後に映画ファンへのメッセージをお願いします。

雑賀監督:今回、コンペティション部門にノミネートいただいたので、これをきっかけにより多くの中国の方々にこの映画を見てもらいたいと思っています。ぜひ見てください。

佐々木希:数ある映画の中から、この「カノン」を皆さんに見ていただくことができて、すごく嬉しいです。本当は出演者全員で一緒に来たかったのですが、残念ながら皆さん忙しくて適いませんでした。北京国際映画祭に参加できて本当に良かったと思います。北京と中国の皆さん、今後ともどうぞよろしくお願いします。それと、北京ダック美味しかったです!

 

人民網:本日はありがとうございました。お二方の今後のますますのご活躍をお祈りしております!

雑賀監督、佐々木希:ありがとうございました。

(文・洪東実)

「人民網日本語版」2017年4月21日

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