中国鉄路総公司が中心となって研究開発し、独自の知的財産権を100%保有し、世界の先端レベルに到達した中国標準の高速鉄道新型車両はこのほど「復興号」と命名された。
2012年に研究開発がスタートし、14年にプラン設計が終わり、15年にラインオフし、17年にお目見えするまで、5年の歳月をかけて完成したこの中国標準の高速鉄道新型車両の強みはどんなところにあるだろうか。
「復興号」の研究開発に着手したのはなぜか
中国高速鉄道車両の発展の起点は、2004年から順次導入された1型車、2型車、3型車、5型車の4種類の技術プラットフォームにある。このプラットフォームをよりどころにして、中国は消化、吸収、再革新を遂げ、中国独自の高速鉄道車両を生み出したが、引き続き未解決の問題が残されていた。中国鉄道科学研究院の張波研究員は、「こうした技術プラットフォームは標準が統一されておらず、車両の分配や調整を行うと『連結できない』とか『座席がなくなる』といった状況があった」と話す。
また車両の型の標準が統一されていないため、駅に予備の車両を準備したり、修理メンテナンスを行う場所に各種の型の部品をすべてそろえたりしなければならなかった。運転士も各種の型に対応した技術を習得しなければならず、非常に煩瑣だった。
そこで中国は12年から時速350キロメートルの中国標準の高速鉄道車両の研究開発事業をスタートした。その過程で、大西高速鉄道(大同-西安間)の総合テスト路線、鄭徐高速鉄道(鄭州-徐州間)、哈大高速鉄道(哈爾濱<ハルビン>-大連間)でテスト走行と運用のチェックを行い、時速420キロメートルでの交差テストと連結テストを行い、高速鉄道車両の交差速度と連結運行速度の世界記録を更新した。
現在、「復興号」には「CR400AF」と「CR400BF」の2種類の型がある。400は速度等級のことで、この車両のテスト走行速度が時速400キロメートルに達したことを意味し、実際の走行速度は時速350キロメートルだ。同公司は今後、輸送市場のニーズを踏まえ、「CR300」や「CR200」シリーズの中国標準車両を順次開発するという。詳しくはこちら
「復興号」の新たな注目点は何か
「復興号」G124号の車掌室。
「復興号」の高さを4.05メートルまで高くし、車内空間をより広くしたことで、車内の騒音が軽減した。また、シート間の距離もより広くなった。
「復興号」の食堂車。
「和諧号」には車両の屋根に出っ張りがあり、これはパンダグラフと空調システムだ。「復興号」はこの部分が屋根下にある通気システムの中に収められたため、車両の空気抵抗が既存の「CRH380」シリーズより7.5~12.3%低下し、350キロメートルで走行している時の100キロメートルごとの乗客一人あたり平均エネルギー消費量が約17%減少した。
バラエティーに富んだ食事。
新たに設置されたUSB電源ポート。
「復興号」のより優れた点はその車体にあり、車両内の空間はより広く、騒音はより小さくなった。また「高速鉄道は速くて携帯電話の電波が届かない」といった不満に対処するため、車両内にWiFiネットワークを完備した。
これまでの高速鉄道車両と比較して、「復興号」は科学技術の革新がより注目される点であることは言うまでもない。「復興号」は全車両にモニタリングポイント2500数ヶ所が設置され、これまでで最多の車両より約500ヶ所も多く、全方位的に複数の観点から故障を診断し、修理メンテナンスを支えることができる。
同公司の説明によると、中国の走行地域の広さや最大40度も開きがある気温差、走行距離の長さ、走行強度の高さといった各種ニーズに対応するため、「復興号」は60万キロメートルに及ぶテスト走行を行い、これは欧州標準の車両より20万キロメートルも長い。最終的に完成車両の性能指標は大幅に向上し、設計寿命は30年に達し、「和諧号」より10年長くなった。
同公司の責任者は、「ソフトウェアもハードウェアもすべて独自に設計し、製造し、型式を選択した。完全に独自の知的財産権を備えている」と強調する。詳しくはこちら
「復興号」に採用された中国標準はどんなもの
中国標準の高速鉄道車両の研究開発過程では、中国の標準、鉄道産業の標準、鉄路総公司の標準、新型標準化高速鉄道向けに制定された一連の技術標準が大量に採用され、重要標準254項目のうち、中国標準が84%を占めた。
「復興号」の誕生は、中国の鉄道技術の設備水準が全く新しい時代に入ったことを象徴する出来事だ。同公司の責任者は、「中国標準高速鉄道新型車両の『復興号』はシステムが整い、構造が合理的で、先端科学技術を擁する高速鉄道技術標準システムを構築し、中国の高速鉄道技術が独自化、標準化、シリーズ化を全面的に実現したことを物語る」と話す。
説明によると、「復興号」のCR400シリーズの研究開発の成功と運行スタートは、中国が高速鉄道の革新技術を全面的かつ系統的に掌握し、高速鉄道の海外進出を加速させる上で重要な戦略的意義をもつ。中国は「復興号」中国標準車両をプラットフォームとして、世界各国の実際のニーズを踏まえ、それぞれにどのような車両がふさわしいかを考え、国際的競争力を備えた高速鉄道のユニット技術・製品を設計・研究・開発し、国際市場を積極的に開拓し、中国高速鉄道の海外進出を推進する。たとえばインドネシア高速鉄道プロジェクトでは、100%独自の知的財産権を備えた中国標準高速鉄道が採用される見込みだ。詳しくはこちら
発展続ける中国の高速鉄道、一方の日本の現状は?
世界的に、「高速鉄道は日本で生まれ、ヨーロッパで発展し、中国で構造が大きく変わった」と言われている。1964年10月1日、世界で初となる商業運営の高速鉄道・東海道新幹線が開通した。現在、日本の新幹線の速度は時速240-320キロとなっている。
日本の新幹線技術の特徴は動力分散方式を採用しており、全ての車両の車輪に駆動装置が搭載されており、先頭車両が他の車両を引っ張っているわけではない。このような運行方式により、列車の加速・減速、急勾配の線路での運行を安定させ、騒音や振動を抑えることができ、より快適な鉄道の旅を乗客に提供する。中国の高速鉄道もこのような方式を全面的に採用している。詳しくはこちら
「復興号」の背後にある科学技術強国の夢
中国鉄路総公司が中心となって研究開発し、中国が完全に独自の知的財産権を持つ中国標準の新型高速列車が25日、「復興号」と命名された。これにより中国の鉄道技術装備における全く新たな時代が到来した。また、これは科学技術強国の夢の実現にとって重要な一里塚となる。
「科学技術が興れば民族が興り、科学技術が強くなれば国家が強くなる」。中国は世界最先端の科学技術成果を多く実現している。神舟11号と天宮2号の打ち上げ成功、「中国天眼」こと世界初の口径500メートル球面電波望遠鏡の完成、スーパーコンピュータ「神威・太湖之光」の世界最速維持、世界初の量子科学実験衛星「墨子号」による1200キロメートル間の量子もつれ実現、完全に独自の知的財産権を持ち、世界先進水準に達した中国標準の車両「復興号」などだ。
現在、中国は世界の科学技術革命の落伍者、学習者、後発者から、革新者、貢献者、先導者への重大な転換を実現しつつある。中国は必ず今世紀前半に世界的科学技術強国となり、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現を科学技術の面から力強く支える。詳しくはこちら(編集YW)
「人民網日本語版」2017年6月27日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn