恋愛から結婚、子育てや家族関係を通じて、中日関係を最も身近に肌で感じることになる国際結婚。特に女性は妻として、母として、嫁として、中国と日本という二つの国の間の矛盾や共通点などをより身近に感じ、家庭の中でうまく融合させていくキーポイントとなる存在。
人民網では、そんな中日カップルの中でも中国人夫に嫁いだ日本人妻たちにスポットをあて、アンケートと座談会を行い、中国人夫との結婚生活や嫁姑問題、子育てに関して3回シリーズでお届けする。
同シリーズ最後は子育て。ハーフである子供たちに母親として、日本人妻たちは何を思い、何に悩み、どんなことを望んでいるのだろうか?
◆日本語の先生はお母さん
今回協力いただいた和華の会(中国人夫に嫁いだ日本人妻の集まり)において、中国に住んでいる子供たちはインターナショナルスクールや日本人学校に通う子もいるが、ほとんどが中国のローカルの学校に通っている。その日本語レベルは片言からネイティブレベルまで開きがあるものの、大半が日常会話レベル以上となっている。
中国の学校教育の厳しさは周知の事実。ではそんな忙しい日々でどのように日本語レベルを保っているかというと、学習塾や通信教育をしている子はわずかで、自宅で独学、つまり母親が日本語教師役を務めているパターンが多い。
(写真左:中国と日本の小学校の教科書、写真右:ニッポン塾での読み聞かせの様子)
母親たちのボランティア活動「ニッポン塾」や大使館から配布される義務教育の教材、インターネットなどを活用し、家で日本語を話すようにしたり、絵本の読み聞かせやアニメ、漫画を通じて、限られた時間と条件の中で日本語力を保とうと頑張っているのが現状だ。
◆日本の伝統文化も知ってほしい
「中国に住んでいるので、正月のお節やひな祭り、七夕、こどもの日など、日本の伝統行事にこだわって、自分が一生懸命日本を保ち、取り入れるようにしています。それは子供たちに知ってほしいだけでなく、夫にも理解してほしいし、周りや親戚にも知ってほしいから」と話すIさん(高校生と中学生の二児の母、中国滞在歴19年)のように、特に中国に住んでいる場合、母親が日本の窓口となって、子供に向けていろいろと働きかけを行っている場合が多い。
◆「中国VS日本」ではなく「中国&日本」
こうして子供たちに言葉や文化を伝えていくのは、母として、日本人妻として、「中国VS日本」という比較や対立ではなく、子供たちに「中国も日本もあなたの国」という「中国&日本」の姿勢を感じてもらいたいという思いからだ。
「子供に私はナニジンなの?と聞かれると言葉につまります。親としては、どちらもあなたの国だと思えるようにサポートしているつもりです。どちらにも帰属しないという孤独だけは感じてほしくないです」
アンケートに寄せられたこの言葉からも国というアイデンティティにとらわれず、広い目で自分をとらえて欲しいという母親たちの願いが感じ取れる。
◆子供たちのために、大切にしたい中日関係
中日関係が与える影響に対して、日本人妻たちは家族間や大人同士ではしっかりとした信頼関係で乗り切れると考えている一方で、子供たちは、社会的にも弱者であり、学校など親の目が届かない状況で無理解な言動などの影響をダイレクトに受けやすいという意見が多数を占めており、その点に対する憂慮や心配も尽きない。
中日国交正常化45周年に日本人妻たちが寄せてくれたメッセージにも、子供たちのために中日の友好関係を望む声が多く寄せられた。
シリーズの最後に、そんな日本人妻たちのメッセージを紹介したいと思う。
・たとえ小さな衝突はあったとしても、隣国同士、互いに理解しあうことに努め、交流・対話を絶やさないことを願います。
・別段中日関係ととりあげなくてもいいような関係になってほしい。
・お互いによいところを見てほしい。
・将来子供達にとって、どちらも住み心地の良い国であって欲しい。
・政治、文化、個人とレベルは違っても、仲良くが一番。メディアでは毎日のように大袈裟な報道ばかりが先んじているように見えますが、個々の付き合いで信頼できる人、同じように感じる人がたくさんいました。国が違ってもそんな事を感じないくらい親しくなった人もいました。だからもっとお互いに知って貰いたい。普通に付き合えるということを知って貰いたいです。
・日中関係に問題が生じると、直接被害を被るのは中国にいる日本人と、日本にいる中国人だと思います。特に現地校に通う小さな子どもたちは、心ない言葉を乱暴に無神経に投げつけられる位置にいます。心から日中関係の真の友好を望んでいます。
・若者が新しい文化を通じて垣根のない交流を作っていってほしい。
・子供たちの代には日本人だから中国人だからと差別や偏見がなくなりますように。
・子供のためにも日中両国は仲良くしてもらいたい。数年前に日中関係に問題が生じた際には、子供がすごく心を痛めていました。これからも微力ですが、日中友好に貢献していきたいと思っています。
・お互いを知ることが何より大切だと思う。理解できなくても認める。お互いの国を好きな人がもっともっと増えてくれればいいなと思う。(文:玄番登史江)
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