雲南省昆明市の尋甸県功山鎮の柳樹河村で、画家の劉海さん（60）は、手のひらよりも大きいジャガイモに絵を描いていた。20分も経たずに、金髪で口を大きく開け、驚きの表情を浮かべた人物がジャガイモに描かれた。ジャガイモの形と見事にマッチしており、生き生きと描かれている。

劉海さんは、柳樹河村で生まれ育った。父は軍人、母は農民、そして兄妹6人の長男だ。幼い頃から絵を描くのが好きだったため、劉海さんは20歳頃から同じ村の隣近所の家の家具や壁に絵を描くようになった。劉海さんによると、暮らしを良くし、両親の負担を減らすために、壁画を専門に描く絵師になったのだという。

兄である劉海さんの影響を受け、弟4人も壁画を描き始め、描けば描くほど上達していき、今ではこの地ではちょっと名の知られた「芸術一家」となった。

80～90年代にかけては、まさに劉さん兄弟にとって「栄光の時期」だったそうで、周辺の村人たちのほとんどが壁画を描いてもらうために彼らの家を訪れていたばかりか、時には大理や羅平、広西、貴州などまで訪れ、絵を描き、まさに絵筆一本で世間を渡り歩いたものだと劉海さんは誇らしげに語った。

劉海さんによると、同村の人口は多いが、土地が少ない為、農作業だけでは、一世帯の年収は約5000元程度（1元は約17.1円）にしかならないが、「私たちのように壁画を描くことで得られる年収は少なくとも2－3万元になる」とした。

絵を描き始めて40年以上になる劉海さんは実践を通じてその技を向上させてきたのだという。現在、劉海さんは壁画だけでなく、彫刻や伝統的な民家の建築などの分野にまで手を広げており、こうした技はいずれも独学で学んだのだという。

こうした芸術一家の影響で、劉海さんの兄妹6人の子供たちや孫たちも幼い頃から絵を描くのが好きだが、親たちは子どもたちがこの家業を継いでいくことは望んでいないのだという。

現在、人々はタイルや工芸画といった現代的な製品で家を飾ることを好む傾向にあり、過去と比べ、仕事の量は目に見えて減っており、もし、子どもたちがこの家業を引き継いだとしても、整形が立ち行かなくなる可能性があるためだとした。

今年の6月、尋甸県で「洋芋文化観光グルメフェスティバル」が初めて開かれ、このイベントに出展するため、劉海さんは初めてジャガイモに絵を描いてみたところ、大変な話題となった。その後、「創意雲南2017文化産業博覧会」にも招かれて参加し、会場でジャガイモに絵を描き、観客から高い人気を集めた。劉海さんは、「これは一種のモデル転換の方向かもしれない」と語った。

現在、劉海さんとその家族は同村に「農民画協会」を立ち上げようとしている。絵を描くことが好きな農民を集め、互いに交流や学習を通して、更に多くの人を惹きつけ、様々な技術を後世へと伝承していくことを目指すのだということだ。（編集HQ）

「人民網日本語版」2017年11月9日