西側の制裁が世界を巻き添えに 世界経済に幾重ものリスク

ロシア・ウクライナ紛争の「世界への衝撃」

人民網日本語版 2022年05月13日16:21
西側の制裁が世界を巻き添えに 世界経済に幾重ものリスク

ロシア・ウクライナ紛争の激化後、米国とその同盟国は全面的な対露制裁を発動し、世界経済を政治化、道具化、兵器化して、国際食糧・エネルギー価格に大きな衝撃を与え、世界のサプライチェーンの滞りをさらに深刻化させ、困難な回復の途上にある世界経済の阻害要因を増やすこととなった。新華社が伝えた。

■食糧危機リスクが上昇 エネルギー体制に衝撃

ロシアとウクライナは共に農産物輸出大国だ。世界貿易機関(WTO)事務局の統計によると、2019年には世界の小麦輸出量の25%、大麦輸出量の15%、ヒマワリの種輸出量の45%をロシア・ウクライナ産が占めた。世界銀行のマルパス総裁は「ロシア・ウクライナ紛争と西側の対露制裁の招く食糧・エネルギー・化学肥料不足は、食糧安全保障の危機を引き起こす。これによって最大の打撃を受けるのは最も貧しい人々だ」と指摘する。

食糧だけでなく、ロシアはエネルギー輸出大国でもあり、EU諸国が輸入する石油の約3割、天然ガスの約4割がロシア産だ。ロシア・ウクライナ紛争の激化以降、西側の制裁や市場のパニックムードの影響を受けて、国際原油価格は大幅に上昇し、一時は1バレル140ドル(1ドルは約128.5円)に迫った。

注目に値するのは、ロシア・ウクライナ紛争による世界のエネルギー市場への影響が長期化するかもしれないことだ。欧州諸国は石油・天然ガスの対露依存度を大幅に下げるための代替案を探る必要に迫られるかもしれないし、ロシアも発展途上エコノミーにおいてより大きなエネルギー消費市場を開拓する必要がある。これは世界のエネルギー構造の調整という事態を招く。また、ロシアが西側の金融制裁に対応するために講じた、エネルギー資源産品のルーブル建て決済などの対抗措置も、国際エネルギー価格・決済体制に長期的影響を与えるだろう。

■世界のサプライチェーンが滞り 経済回復は一層困難に

ロシア・ウクライナ紛争は西側の対露制裁と相まって世界のサプライチェーンの妨げとなり、正常な世界貿易に深刻な影響を与えている。

ウクライナの多くの工場が生産を停止し、多くの部品の供給が保証されないため、ドイツの自動車メーカーなどは減産、ひいては操業停止に陥っている。ロシアからの原材料輸出が妨げられていることも、世界経済にとっての障害となっている。例えば、ロシアのニッケル生産量は世界の約7%を占めており、ロシアがさらなる制裁を受けた場合、ニッケルなど金属の供給にも影響が及ぶことを市場は懸念している。長期的に見れば、西側の対露制裁が引き起こした世界のサプライチェーンの滞りは、彼らに自業自得の結果をもたらすことになるだろう。統計によると、2100社以上の米国企業、約1200社の欧州企業が、少なくとも1社のロシアの直接サプライヤーと取引関係にある。

世界経済の回復は、すでに地域的不均衡、政策的不協調、そしてパンデミックの度重なるぶり返しによる多くの不確実性に直面していたが、ロシア・ウクライナ紛争によってそのプロセスは一層困難なものとなった。世界銀行は、今年ウクライナ経済は45.1%、ロシア経済は11.2%縮小し、ユーラシア地域の新興国・発展途上国経済は前回予測の3%の成長ではなく、4.1%の縮小になると予測する。WTOは、ロシア・ウクライナ紛争により、今年の世界貿易の成長率は前回予測の4.7%ではなく、2.4~3%に減速し、世界経済の成長率は0.7~1.3ポイント低下して3.1~3.7%になると予測する。

また、高インフレ圧力の下、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを加速していることが、一部の国々のデフォルト(債務不履行)リスクを高め、世界経済の回復はさらに多くのリスクにさらされることになるとアナリストは指摘している。(編集NA)

「人民網日本語版」2022年5月13日

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