2021年4月13日に撮影した日本の福島第一原子力発電所(新華社通信/共同通信)
日本の原子力規制当局である原子力規制委員会は22日の会議で、東京電力(以下「東電」)の福島第一原子力発電所の原発汚染水海洋放出計画を正式に承認した。計画では、地元自治体の同意も得れば、東電は来春から原発汚染水の海洋放出を開始することになる。新華社が伝えた。
昨年4月、日本政府は国内外の強い反対を顧みず、原発汚染水の太平洋への放出を正式に決定した。日本側は1年以上にわたり高まる国内外の反対の声に耳を貸さず、原発汚染水の海洋放出の推進を独断専行で強行してきた。これは極めて無責任で、世界の海洋環境に深刻な危害を及ぼすことになるやり方だ。
■概念を曖昧にし、危害を極力隠蔽・矮小化
現在、各方面は一様に日本による原発汚染水の海洋放出が海洋環境や太平洋沿岸諸国の人々の健康に及ぼす影響を懸念すると同時に、海洋放出計画の正当性、日本側のデータの信頼性、浄化装置の有効性、環境への影響の制御可能性を疑問視している。
日本側は、これらの質問を意図的に避けるだけでなく、危害を極力隠蔽・矮小化している。日本は、原発汚染水を海洋放出する前に東京電力の多核種除去設備(ALPS)によって浄化処理し、ALPSで除去することが困難なトリチウムについては、日本の国の基準値を大幅に下回る濃度に希釈して海に放出すると主張している。日本側はまた、概念を曖昧にして、原発汚染水と廃水を混同して論じ、トリチウムは世界中の原子力発電所の廃水に含まれており、希釈後の海洋放出は安全だとしている。
2021年2月13日に撮影した日本の福島第一原子力発電所の原発汚染水貯蔵タンク (新華社通信/共同通信)
実際には、福島原発汚染水は、原発の通常運転時に排出されるトリチウムを含む廃水とは異なり、その放射性物質の成分は極めて複雑であり、効果的に除去できるのか否かに疑問がある。日本政府と東電が福島原発事故で不誠実な対応を繰り返してきた過去を考えると、彼らの言い分には納得しがたいものがある。
日本メディアは以前、福島原発汚染水にトリチウム以外にも基準値を超える様々な放射性物質が含まれていることを確認。東電もALPSで処理した原発汚染水は70%以上が排出基準を満たさず、再度の濾過が必要であることを認めた。
■各方面が原発汚染水の海洋放出に強く反対
日本側の原発汚染水排出計画には、日本国内外から多くの疑問や反対が上がり続けている。22日の原子力規制委員会の姿勢表明は、再び深刻な懸念を引き起こし、各方面は日本側に対して、原発汚染水の海洋放出という間違った決定の撤回を促している。
2021年4月13日、東京の首相官邸前で、福島原発汚染水の海洋放出に反対するデモ隊。(撮影・杜瀟逸)
日本国内でも、東京や千葉、福島の民衆が同日、抗議行動を行った。参加者からは「原子力規制委員会の決定は、福島の将来や海洋環境に関わるものだが、このような重要な決定を、あろうことか日本国民に十分に告知しないまま性急に行うのは、非常に無責任だ」との声が聞かれた。「原発汚染水の海洋放出には断固反対だ。日本はこれ以上海洋を汚染し、地球を汚染してはならない」と言う人もいた。
中国外交部(外務省)は22日、「福島原発汚染水の処分は、全世界の海洋環境と環太平洋諸国の公衆の健康に関わるものであり、断じて日本だけの事ではない。中国は日本側に対して、国際的義務を的確に履行し、科学的で公開性と透明性のある、安全な手段で原発汚染水を処分し、海洋放出計画の強行推進を止めるよう促す」と改めて表明。「ステークホルダー及び関連国際機関と十分な協議を行って合意に達する前に、海洋放出計画を勝手に始めるべきではない。もし日本側が頑なに自らの利益を国際的な公共の利益よりも優先し、危険な一歩を踏み出すのならば、自らの無責任な行為の代償を払い、歴史に汚点を残すことになるだろう」と強調した。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年7月25日