2023年中国10大科学技術成果 質の高い発展を後押し
科学技術イノベーションは百年間なかった大変局における「重要な変数」であり、質の高い発展における「最大の増分」でもある。2023年、中国科学技術事業は数多くの大きな成果を上げた。
C919が初の乗客を乗せた商用運航に成功
5月28日、中国独自開発の大型旅客機C919が初の乗客を乗せた商用運航に成功した。
大型旅客機は数百万点の部品によって組み立てられ、技術的ハードルが高く、研究開発期間が長く、システムが複雑であることから、「現代製造業の王冠に輝く宝石」と呼ばれている。大型航空機の製造能力はその国の工業レベルを直接反映している。
中国商用飛機有限責任公司(Comac)の魏応彪副総経理は、「当社はすでにC919を大量生産する能力を備えており、将来は年間生産能力が30-50機に達するだろう」と述べた。
「ダブル炭素」目標実現を後押し
中国初の海上CO2貯留モデルプロジェクトが稼働開始
二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウトとカーボンニュートラルという「ダブル炭素」目標を実現するには、エネルギー取得方法の転換、石油、石炭、天然ガスなどの化石エネルギーへの依存度の引き下げ、植林や炭素固定能力向上といった通常手段のほか、「カーボンニュートラルのラストワンマイル・ソリューション」と呼ばれる二酸化炭素貯留(CO2貯留)技術も利用できる。
6月1日、中国初の海上CO2貯留モデルプロジェクトが南中国海の東部海域で正式に稼働開始し、海上油田開発で発生したCO2の海底地層への大規模注入が始まった。このプロジェクトは中国の海上CO2貯留技術の空白を埋めるものとなった。
従来の製糖方法を覆す
二酸化炭素から糖への正確な全合成を実現
今年8月15日に中国の有名学術誌「科学通報」に掲載された研究成果が、サトウキビなどの農作物から糖分を抽出する伝統的方法を覆した。これにより、糖の取得時間を「年」単位から「時間」単位に短縮した。
中国科学院の天津工業生物技術研究所と大連化学物理研究所の科学研究チームは、2年以上かけて、二酸化炭素(CO2)から合成したデンプンをベースに、糖の自然合成ルートを変え、実験室内でCO2から糖への正確な全合成を実現した。
AI時代の高計算力ニーズを満たす
ReRAMインメモリコンピューティングチップが誕生
計算力とエネルギー効率が高いチップの研究開発をどのように加速し、膨大な計算力の不足問題を解決し、計算力の大幅な向上を実現するかが、今すぐに解決しなければならない問題になっている。
清華大学集積回路学院の呉華強教授と高浜准教授のチームは、インメモリコンピューティングモデルに基づいて、世界初の全機能(システム)を集積した、効率的なラーニング(マシンラーニングをハードウェア端末で直接行うことができる)をサポートするReRAMインメモリコンピューティングチップを開発した。
同じタスクにおいて、このチップはオンチップラーニングにおけるエネルギー消費を先進技術での特定用途向け半導体集積回路(ASIC)のわずか3%まで下げ、エネルギー効率の面で卓越した優位性を示しており、人工知能(AI)時代の高い計算力ニーズを満たせる極めて大きなポテンシャルを備えている。
太陽活動の高品質データを提供
円環アレイ太陽電波イメージング望遠鏡がプロセステストに合格
科学技術のサポートによって、人類の視線ははるか遠くの宇宙にまで届くようになった。9月27日、「千眼天珠」と呼ばれる国家重要科学技術インフラ「宇宙環境地上総合モニタリングネットワーク(子午プロジェクト2期)」を象徴する設備の一つである円環アレイ太陽電波イメージング望遠鏡がプロセステストに合格し、正式に完成した。
「千眼天珠」は標高3820メートルの四川省甘孜蔵(カンゼ・チベット)族自治州稲城県噶通鎮にあり、中国科学院国家宇宙科学センターが中心となり建設されたもので、敷地面積は1平方キロメートル、現時点で世界最大規模の総合開口電波望遠鏡だ。
長江水上輸送の水素エネルギー時代が幕開け
水素燃料電池動力モデル船「三峡氫舟1」号が初航行
10月11日、「出航」の声が川面に響き渡り、中国初の水素燃料電池動力モデル船「三峡氫舟1」号が長江三峡の起点となる湖北省宜昌市から初航行を開始し、水素燃料電池技術の中国の内陸河川船舶の応用におけるブレークスルーを達成し、長江水上輸送の水素エネルギー時代が幕を開けた。
試算によると、同船は従来の燃料動力船より石油燃料の消費を年間103.16トン、二酸化炭素(CO2)の排出量を343.67トン削減する見込みだ。
有人宇宙事業が重要な一歩を踏み出す
宇宙ステーションが応用・発展の新段階に突入
10月29日、「宇宙での合流」が再び実現した。
有人宇宙船の「神舟17号」と「神舟16号」の乗組員が宇宙ステーションでの合流に成功した。
宇宙への夢が実現した「神舟5号」から、宇宙ステーションでの合流の夢が再び実現した「神舟17号」までの間に、宇宙に行った中国の宇宙飛行士は20人になった。
2022年末、中国の宇宙ステーションは全面的に完成し、10年以上にわたる応用・発展段階に入った。この段階では、中国は有人宇宙飛行を常態化して展開する。宇宙飛行士は長期的に軌道上を飛行して、多くの分野で大規模な宇宙科学実験と技術実験の任務を実施することになる。
中国造船業の「3粒の真珠」が揃う
初の国産大型クルーズ船が命名・引き渡し
総トン数13万5500トン、使用された部品数は2500万点に及ぶ……11月4日、中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都(ADORA MAGIC CITY)」号が正式に命名され、引き渡された。これは、中国が国産大型クルーズ船の建造でブレークスルーを達成したことを示している。
中国船舶工業業界協会の李彦慶秘書長は、「中国はすでに航空母艦、大型液化天然ガス(LNG)輸送船、大型クルーズ船を建造する能力を備え、造船業の『3粒の真珠』が揃った」と語った。
テラビットのレベルへ躍進
超高速次世代インターネットバックボーンが開通
11月13日、清華大学は世界初の毎秒1.2テラビット(T。伝送効率が毎秒1200ギガビット)の超高速次世代インターネットバックボーン(基幹回線網)が正式に開通したことを発表した。この回線網は未来型インターネット試験施設FITIの北京・武漢・広州にある3大中核ノードを結び、総延長は3000キロメートル以上ある。
現在、世界のインターネット400ギガビット(G)バックボーン技術は商用化が始まったばかりだ。今回の1.2T超高速次世代インターネットバックボーンの開通は、中国のバックボーン技術がTビット級に到達したことを意味する。
より重要なことは、この回線網がシステムのソフトウェア・ハードウェアの全てで国産化と独自開発を実現したことだ。
宇宙への打ち上げ記録を絶えず更新
長征シリーズキャリアロケットの打ち上げ500回に
12月10日午前9時58分、中国は西昌衛星発射センターでキャリアロケット「長征2号D」を使い、リモートセンシング衛星「遙感39号」を打ち上げた。長征シリーズキャリアロケットにとって500回目の打ち上げとなった。
中国の宇宙事業は1970年から53年間で「打ち上げ0から500へ」のブレークスルーを達成した。長征ロケットが打ち上げ100回に達するには37年かかったが、200回に達するには7年、300回に達するには4年、400回に達するには2年9ヶ月、500回に達するにはわずか2年しかかからず、中国の宇宙事業の記録を絶えず更新してきた。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年12月25日
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