利用者が2300万人から4億8000万人へ 中国の「春運」70年の歩み

人民網日本語版 2024年02月23日13:28

50年代と60年代の「硬券切符」(資料写真、撮影・潘越)。

50年代と60年代の「硬券切符」(資料写真、撮影・潘越)。

中国の春運(春節<旧正月、今年は2月10日>期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)は、その利用者が70年前の延べ2300万人から延べ4億8000万人にまで増え、車両は「緑皮車」(従来の普通列車)から高速列車に、切符は「硬券切符」から電子版切符へと大きな変化を遂げてきた。また、今では高速鉄道網が整備されたことで、多くの人がスピーディーに帰省できるようになったほか、公益性を備えた鈍行列車が山間部まで運行されるなど、劇的な変化を見せている。

「春運」の鉄道利用者は、1954年の延べ2300万人から、2012年には延べ2億2100万人にまで増え、今年はその2倍以上に当たる延べ4億8000万人に達すると見込まれている。

故郷までの道のりを便利にしてくれた高速鉄道

9つの資格を有し、35車種の列車を運転したことがあり、春運を32回経験してきたという中国鉄路北京局集団の高速列車の運転士・韓軍甲さんは、「中国の鉄道車両を完全制覇した運転士」と呼ばれている。

韓さんは、「一番初めに運転していたのは蒸気機関車で、時速はわずか50キロだったため、北京から上海に行くのに1日半もかかっていた。その後、ディーゼル機関車になって時速は120キロになり、さらに電気機関車が登場して、時速は160キロになった」と振り返る。

その後、最大の変化が起きたのは2010年のことだ。その年、北京と上海を結ぶ「京滬高速鉄道」の運転士の募集が始まり、韓さんも応募した。そして、同鉄道が2011年に開通すると、北京と上海間の日帰りが可能になり、それを運転するようになった韓さんは、「2012年の春運には、1日に2往復して、1千人以上の帰省客を運んだ」と振り返る。

しかし、韓さんはそれで満足することなく、「生きているうちに、中国が独自に研究開発した高速列車を運転できたなら本望だ」とひそかに思っていたのだという。

ただ思いもよらなかったのは、そんな韓さんの夢がわずか数年後に叶ったことだ。2017年9月、韓さんは中国の第一陣の高速列車「復興号」の運転士となり、中国で最も速い列車を運転するようになったのだった。

今年の春運期間中も韓さんは引き続き第一線で活躍している。四季が変化し、時が経ち、中国の鉄道網がスピーディに建設されていったように、韓さんが運転する列車もますますスピードアップしている。

2023年末の時点で、中国の高速鉄道の総延長距離は世界一長い4万5000キロに達し、世界の高速鉄道の70%以上を占めるようになった。中国で建設中の高速鉄道の規模も世界最大で、商業運営速度も最速。高速鉄道の技術は最も網羅的で、運営シーンも最も豊富になっている。

窓口に長蛇の列を作っていた切符購入は今やオンラインに

1990年代より以前、列車の切符は、小さくて分厚い紙で作られた「硬券切符」で、座席番号は切符販売員が手で貼り付けていた。その後、1997年に、コンピューターでプリントされる赤い薄手の紙が正式に使われるようになり、切符の販売にかかる時間は数分から数十秒にまで短縮され、切符の販売状況を全ての窓口で共有できるようになり、初めて「切符がある場合なら、どの窓口でも購入することができる」を実現した。その後、2007年、磁気切符が登場し、乗客は自動改札機を使って駅構内に入ることができるようになった。さらに、2020年6月20日からは、電子版切符が中国全土の鉄道で導入され、切符のペーパーレス化時代へと突入し、身分証明書をかざすだけで、駅構内に入り、乗車できるようになった。

そして切符が変わったことで、その購入方法も変化した。

北京で働いて20年以上になるという劉錦さんは、「15年前、春節に帰省するための切符を買うのに、駅で二日二晩並ばなければならなかった。インターネットで購入できるようになる前は、折りたたみ椅子や掛け布団を手に、販売窓口の前に並んでいた。そしてその列は何キロも続いていた」と振り返る。

2012年の春運に、初めてオンラインでの切符販売が導入された。それから約10年の間に、オンライン購入と電子版切符が主流となり、今では鉄道アプリ12306で販売される切符の数は年間30億枚に達している。

販売される切符の数は1秒当たり300-500枚で、最も多い時には1000枚ほどに達する。購入者が必要な情報を入力してから切符が発行されるまでにかかる時間はわずか約2.8秒だ。鉄道アプリ12306はすでに便利でスピーディーなスマートシステムを構築し、世界最大規模の切符購入システムになっている。

利用者が殺到する祝祭日や人気路線、輸送能力の限界といった要素が重なると、今でも「切符の争奪戦」が繰り広げられることになるものの、移動が以前に比べると非常に便利になったことは紛れもない事実だ。登場して約10年になる鉄道アプリ12306もますます整ってきている。

鉄道アプリ12306のテクノロジーイノベーションセンターの単杏花副主任は、「オンラインでの切符購入というのは、数多くの旅客が中国鉄道に出してくれた宿題だった。まだ、至らない点もあるものの、固い決意を抱いて前進し続ける」とした。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年2月23日

注目フォトニュース

関連記事