2023年2月21日、順豊航空のチャーター機で無事「帰国」したジャイアントパンダ・シャンシャン(画像は順豊集団の微博(ウェイボー)から)。
生きた大型動物の海外への航空輸送というのは、特殊物流の中でも難度が最高となる業務の一つで、長年、多国籍物流企業数社しかその業務を扱っていなかった。先ごろ、東京上野動物園のジャイアントパンダ・香香(シャンシャン)が、順豊航空のチャーター貨物機で無事中国に帰国し、中国の宅配物流業界の同分野のブレイクスルーが実現した。それは、宅配物流業界のサービス能力や全体的な水準が新たなステージに歩みを進めたことを意味している。人民日報が報じた。
中国の宅配企業が市場を「驚嘆」させたのはこれが初めてのことではない。昨年8月、山東省の青島流亭国際空港が閉鎖され、膠東国際空港が開港。空港の移転業務を担ったのが宅配企業だった。順豊航空は3階建てほどの高さの飛行機の機材から、重さ1グラムの昆虫の標本まで、空港のありとあらゆるものを輸送した。また、圓通航空はすでに、航空用エンジンや着陸装置翼といった飛行機の部品の輸送も常態化作業として扱っており、各大手航空会社の飛行機の修理・メンテナンスを「物流」という面からバックアップしている。
2023年1月29日、河南省済源市柿檳物流パークで忙しそうに走り回る車(撮影・李培献/写真著作権は人民図片網所有のため転載禁止)。
中国の一般消費者も宅配業の発展を肌で感じている。以前は輸送が難しかったイチゴやライチ、上海ガニ、生花といった農業副産物が今では宅配企業を通して、効率よく、ロスを少なく、大規模に輸送でき、消費者は自宅で世界中の美味しいものを味わうことができるようになっている。
重要なサービス業として、ますます発展を続けている宅配業は業界自身のレベルアップを実現させているだけでなく、他の産業の発展や需要と供給の好循環にも様々な利益をもたらしている。
生産側を見てみると、宅配業はその強大なサービス能力を発揮し、製造業の物流コスト、倉庫での保管コストの低減をバックアップし、コスト削減だけでなく、効率アップも実現している。また、全プロセスでのデジタル化を実現している数少ない業界の一つである宅配業は現在、物流を皮切りに、製造業が販売や在庫などのデータバンクを構築し、デジタル化へのモデル転換をさらに実現することができるようバックアップしている。
モノのインターネット(IoT)やビッグデータ解析、無接触型電気供給といった先進技術や手段を通して郵便物処理をスマート化している中国郵政・蘭州中川郵便物処理センター(撮影・丁凱/写真著作権は人民図片網所有のため転載禁止)。
消費側を見てみると、宅配サービス能力のアップグレードにより、新たな市場ニーズが生まれている。生花を例にすると、宅配企業がパッキングや輸送といった面でブレイクスルーを実現するにつれて、雲南省の生花を24時間以内に中国全土の主要都市に、ダイレクトで輸送できるようになっている。そのため、花のオンライン購入が可能となり、消費者は花を手ごろな値段で購入できるようになった。データによると、2015年から2021年末までの間に、中国の生花EC市場の規模は900億元(1元は約19.1円)にまで急速に拡大した。
宅配業は「懸け橋」のように、供給側と消費側を結び付けている。その橋の道幅が広く、道が平坦なほど、スムーズに橋を通過することができ、需要と供給のバランスがより取りやすくなる。中国の宅配業のサービス能力が高まり続けるにつれて、製造業の「コスト削減・効率アップ」がさらに促進され、供給が需要を生み出し、国民経済の好循環が生まれることになるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月21日