福建・福州の企業が開発した「多様な技をもつハイテクガラス」

人民網日本語版 2024年05月08日11:41

福耀玻璃工業集団のスマート工場の作業場で、ガラス製品を生産するロボットアーム。(4月29日に撮影)

福耀玻璃工業集団のスマート工場の作業場で、ガラス製品を生産するロボットアーム。(4月29日に撮影)

光をスマートに調節し、室内を暖めたり結露を防いだりし、動画を見ることもできる。そんな画期的な技術を備えたガラスが、今、ガラスに対する従来の考え方をひっくり返しつつある。

この「多様な技をもつガラス」は、福建省福州市にある福耀(フーヤオ)玻璃工業集団股份有限公司の製品だ。持続的な開発投資と技術イノベーションにより、かつて一地方の無名の小さな工場だったフーヤオは、今や自動車用ガラスと自動車用アクセサリーが一体化したソリューションの分野で世界トップレベルのサプライヤーに成長した。

「ガラス+」で各種機能の応用シーンを開拓

フーヤオのガラスはスマートディスプレーになり、車のフロントガラスに投影してナビゲーションなどの情報を表示させることができる。フィルムをコーティングすれば、熱を効果的に反射して、車内の温度が上がりすぎるのを防ぎ、計器板の劣化を遅らせることができる。チップを搭載すれば、スマートコネクテッドカーの身分証である「デジタル電子ナンバープレート」に変身できる。

こうした「ガラス+」機能の実現は、フーヤオの持続的なイノベーションの取り組みのたまものだ。フーヤオには4000人以上のメンバーを擁する開発チームがあり、毎年、売上高の4%以上をイノベーション・開発に投入している。2023年末現在、フーヤオの国際特許の出願件数は3377件に達した。

同集団の葉舒総裁は、「中核技術の確立に近道はなく、必ず独自イノベーションに基づかなければならない。今や当社は中核技術の100%独自化を達成した」と述べた。

ここ数年、フーヤオはスマートコネクテッド新エネルギー自動車などの新興産業に進出し、情報の双方向交流やビュー・ウインドウなどの機能を一体化した自動車用ガラスソリューションの提供に力を入れ、ガラスを「より賢く」している。

新型車載5Gアンテナガラスは、フーヤオの産業イノベーションの重要な成果の1つだ。スマートカーに高いレベルの自動運転能力を持たせようとすれば、アンテナを少なくとも20本は設置しなければ5G通信の要求に応えることはできない。これほど多くのアンテナをどうやって取り付けるかが、これまでずっと業界の抱える難問だった。

フーヤオ集団玻璃工程研究院の関係者は、「当社は課題解決チームを特別に立ち上げ、アンテナをガラス内部に埋め込んで、アンテナとガラスの一体化設計を実現した。現在、フーヤオの5Gアンテナガラスの性能は最高で800メガビット毎秒のネット通信速度を達成した。自動車用ガラスは表示の切り替えやデータ伝送などの機能の重要な担い手として、その定義が更新され続けているところだ」と説明した。

スマート製造の効率を高める「インダストリー4.0」

フーヤオが新たに建設したグリーンスマート工場では、製造ラインでロボットアームが規則正しく動き回っていた。板ガラスがカット・研磨、圧延、フィルムコーティングなどの精密加工を経て製品になってから物流ルートへ送られパッケージされるまで、生産ライン全体で高度な自動化が実現している。

フーヤオの自動車用ガラス生産の管理責任者の呉礼徳さんは、「これは当社が最近打ち出したインダストリー4.0だ。生産ラインの作業員の数は20%近く減ったが、生産効率は逆に200%アップした。現在、当社には産業用ロボットが2229台ある」と話した。

このグリーンスマート工場は生産の自動化だけでなく、人工知能(AI)ビジュアル検査システムも配置する。大型ルーフ生産ラインを例にすると、ライン全体で7つの重要工程に自動検査システム9セットとモニタリング・位置測位システム2セットが配置され、AIがディープラーニングによってヒビや気泡といったガラスの欠陥の特徴を深く学習し、外観、透明度、商標などの品質検査を人に代わって行うことができるという。

インダストリアル・インターネットは時代の大きな流れだ。フーヤオは積極的に展開を進め、「神経システム」が世界にある工場をカバーするようにして、産業チェーンの川上から川下まで手を広げようとしている。

フーヤオの世界に50ヶ所ある工場のうち、デジタル制御工作機械の50%以上がインターネットセンサーなどの技術を採用して情報処理センターに接続し、生産過程全体において最適化された管理が行われるようになっている。試算によれば、フーヤオの生産効率は30.5%上昇し、製品の不良率は30%以上低下し、エネルギーの利用効率は12%上昇した。

工場のネットワーク化により、フーヤオは「多品種・小ロット」の柔軟性の高い生産方式を実現した。

前出の管理責任者の呉さんは、「当社では1つの生産ラインで数十種類のさまざまな自動車用ガラスを生産しており、一般的な複雑さのレベルのガラス製品なら種類の切り替えにかかる時間は通常はわずか1時間で、1つの作業場で年に1万種類に上る異なる自動車用ガラスを生産できる。従来の工場ではこれほどの柔軟さを達成することは難しい」と話した。

また葉総裁は、「従来的な製造分野から起業した企業にとって、新たな質の生産力の発展はテクノロジーによるリード、イノベーションによる駆動を堅持する道だ。企業のデジタル、ネットワーク、スマート、グリーンのトランスフォーメーションを絶えず推進してはじめて、製品が競争力を備えるようになる」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2024年5月8日

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