年間4000万本以上の木製の櫛を生産する山東省の村

人民網日本語版 2024年05月10日10:42

中医学によると、人の頭には50以上のツボが集中しているほか、清陽の気や手足の気など、体全体の陽の気が集まっているため、「諸陽の会」と称されている。木製の櫛で髪をとかすと、ツボを刺激し、経脉の流れがよくなり、頭がすっきりするなど、健康にとても良い。中国新聞社が報じた。

櫛の材料となる木材を加工する男性(撮影・許伝宝)。

櫛の材料となる木材を加工する男性(撮影・許伝宝)。

山東省臨沂市莒南県板泉鎮東高楡村は、そんな木製の櫛の重要な生産地となっている。

東高楡村の木製の櫛の生産加工には、300年以上の歴史があり、「中国における木製の櫛第一村」と呼ばれている。現在、村の419世帯全てが木製の櫛の生産に従事しており、生産数は年間4000万本以上、年売上高は約1億元(1元は約21.5円)に達している。

櫛を作る材料となる木片を運ぶ女性(撮影・許伝宝)。

櫛を作る材料となる木片を運ぶ女性(撮影・許伝宝)。

清の康熙帝の時代、ある宮廷の手工芸職人が年老いたため宮廷を退き、生まれ故郷に戻る途中、東高楡村の近くで病にかかってしまった。幸いなことに、村に住む陳さんという村民の看病の甲斐あって、健康を取り戻したという。

そしてその恩返しに、その職人は自分が得意としていた櫛を作る技術を陳さんに伝授。そこから木製の櫛の製作技術が、東高楡村に伝わったと言い伝えられている。

木製の櫛を磨き上げる職人(撮影・許伝宝)。

木製の櫛を磨き上げる職人(撮影・許伝宝)。

マッサージ用の櫛を作る職人(撮影・許伝宝)。

マッサージ用の櫛を作る職人(撮影・許伝宝)。

伝統的な高楡村の木製の櫛は、木質が細かいナツメやアンズ、ナシの木が原料となる。そして、20以上の工程を経て、丁寧に作り上げられていく。どの工程にも、定められた順序があり、高い技術が求められ、1本の櫛を作るのに少なくとも15日はかかるという。

臨沂市のある会社が生産した辰年をテーマにした櫛(撮影・劉暁梅)。

臨沂市のある会社が生産した辰年をテーマにした櫛(撮影・劉暁梅)。

地元では、結婚する際に、新郎新婦が幸せに暮らし、共に白髪になるまで仲良く添い遂げるようにという願いを込めて精巧な櫛を贈るのだという。

また東高楡村の木製の櫛は、単なる生活用品ではなく、職人の汗と知恵が詰まった、幸福と繁栄、平安と幸福の願いを込めたグッズとなっている。

精巧な細工が施された東高楡村の木製の櫛(撮影・劉暁梅

精巧な細工が施された東高楡村の木製の櫛(撮影・劉暁梅)。

木製の櫛が文化の代名詞に

精巧な細工が施された東高楡村の木製の櫛(撮影・孫運亮)。

精巧な細工が施された東高楡村の木製の櫛(撮影・孫運亮)。

2023年5月、東高楡村の木製の櫛は、ウィーン国連中国語デーの一連のイベントで披露され、好評を博した。アルジェリア常駐ウィーン代表団の外交官・アニナ氏は、「中国文化が醸し出す『和合之美』には、感動させられる」と語った。

七夕節(旧暦の七夕)であった同年の旧暦7月7日、イタリアのマイクさんは、 東高楡村の木製の櫛文化博物館を訪れ、櫛文化の美しさを目にし、「この櫛に彫刻されている2羽のオシドリはとても素敵。ガールフレンドに是非プレゼントしたい」とした。

東高楡村の木製の櫛文化を体験するマイクさん(撮影・徐俐莉)。

東高楡村の木製の櫛文化を体験するマイクさん(撮影・徐俐莉)。

無形文化遺産である木製の櫛の製造技術を伝承し続けるために、東高楡村は、資金を投じて、木製の櫛文化博物館を建設した。中国国内外の櫛の起源やその変遷、奥深い文化などを紹介している。

東高楡村の木製の櫛文化博物館(撮影・劉暁梅)。

東高楡村の木製の櫛文化博物館(撮影・劉暁梅)。

博物館内には、無形文化遺産体験館もあり、伝統的な木製の櫛の製作工程が紹介されており、来館者は櫛造りを体験することもできるようになっている。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年5月10日

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