「中国の草」、世界への贈り物
80歳を超える林占熺氏は過去半年で海外を4回訪れた。この中国の菌草技術の発明者は今年の元宵節(旧暦の1月15日、今年は2月24日)に、フィジーの菌草畑の近くに立ち講義を行った。夏の初めには長年働いたパプアニューギニアと、菌草技術で初めて国際的な賞を受賞したスイスを再訪し、技術応用及び産業発展の最新の考えを伝えた。8月上旬にはルワンダで若い栽培農家と収穫を迎えた。人々はキノコを抱え、満面の笑みを浮かべた。中旬にはエジプトの農業大臣に菌草技術による砂漠化対策の強みを紹介した。双方は今後の協力について意見を交換した。中国青年報が伝えた。
林氏は、「彼らは皆とても喜んでいた。私はもう80歳になったのに支援してくれるとは思わなかった」と述べた。
林氏は数十年にわたり科学研究チームを率い、高収量、高品質、根系が発達し、痩せた土地や干ばつ、塩害・アルカリ性に強い、食用キノコの栽培で木材の代わりに最初に使用された草本植物「菌草」を選定・育成した。タンパク質を豊富に含み、成長が速く適応性が高いため、家畜の飼料としても広く用いられている。
林氏は6月末にジュネーブの国際会議に出席し、発言の中で次のエピソードを振り返った。新世紀の初めに、当時福建省の省長だった習近平氏の働きかけと支援を受け、世界初の菌草科学実験室が福建農林大学で創設されたのだった。
林氏は1992年10月、第20回ジュネーブ国際発明展に参加するため初めて海外に出た。菌草技術という新しい学際的研究がジュネーブで高評価され、林氏にとってのサプライズとなった。当時の国際評価委員会はこの新技術の応用の強みについて、「最も合理的」「最も経済的」と評価した。林氏が福州に戻る前に、技術を導入したいと海外から連絡が入った。林氏には、「菌草技術は貧困者支援として誕生したもので、貧困者支援に寄与しなければならない」という信念があった。
今年8月上旬にルワンダで開催されたアフリカ地域菌草技術研修会で、林氏は自分の教え子であり、ルワンダ初の菌草プロジェクトコーディネーターである女性アグネス・アインカミエ氏と会った。アインカミエ氏は2007年に大学を卒業し、初めて中国の菌草専門家と出会うと、発展の道を見つけた。
「中国の専門家は非常に勤勉で、仕事が非常にハイペースだ」。アインカミエ氏は学習と実践の中で、徐々に「中国のリズム」に適応していった。中国の専門家と毎日肩を並べて働くことに刺激された。「最も幸せだったのは、多くの人を支援できることだった。菌草技術は大好評で、特に女性や若者は研修を受けた後に生計と活路を見つけた。収入が倍以上増加した人もいた」という。
エジプト農業科学アカデミーのファシー教授は今月15日、17歳の息子を連れカイロの林氏を訪問した。林氏はファシー氏にとって「父親のような指導教員」だ。ファシー氏は1995年に福州市で第1回菌草技術国際研修会に参加し、海外第1陣の中堅技術者になった。林氏は今回カイロを視察し、エジプト農業科学アカデミーは協力深化を続けると積極的に表明した。
菌草技術国際研修会は現在まで約350期開催され、1万4000人以上の育成を行っている。菌草技術は18言語に翻訳され、世界で広がり続けている。発展途上国で「菌草は個人の成長を支援するほか、新興産業としても発展し続けている」ことは、林氏にとって最も喜ばしいことだ。林氏は今年2月にフィジーで講義を行った際に、太平洋諸国を含む発展途上国の気候変動への対応に向けてより多くのソリューションを模索しようとして、菌草技術を塩性・アルカリ性土壌の対策に応用するという科学研究の課題も持ち込んでいた。「実験結果は理想的だった」と林氏。
林氏はジュネーブで、世界各国からの出席者に「菌草技術が歩んだ道は、人々の貧困脱却の道、中国が世界に貢献する道であり、人類の近代化の道における新たな模索の道でもある」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年8月28日
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