日本側の核汚染水の海洋放出に断固反対すると同時に、理性的で冷静に科学的に見るべき

人民網日本語版 2024年09月20日21:46

9月20日、日本が一方的に東電福島第一原発事故汚染水の海洋放出を開始して1年余り、中日両国の政府は核汚染水の海洋放出問題についての2国間合意を発表し、幅広い注目を集めた。(文:周信・国際問題評論員)

今回の合意は中日両国の度重なる外交協議の最新成果だ。中国外交部報道官も合意の内容について説明をした。では、我々はどのように捉えるべきか。

第一に、合意達成は中国の核汚染水の海への放出に反対するという立場の変化を意味するものではなく、日本が歴史的責任を回避できることを意味するものでもない。

2021年に日本が福島核汚染水を海に放出するというかつてない決定を下して以来、中国政府は一貫して断固として反対してきた。9月20日、中国外交部報道官は次のように強調した。「中国は最重要のステークホルダー国の一員として、一貫してこの無責任なやり方に反対する。」

日本が近隣国と十分な話し合いを行わないまま、勝手に核汚染水を海へ放出することは、核のリスクを全世界に転嫁したものであり、日本政府がいかに放出を正当化させようとしても、この行為に正当性も合法性もないことは疑いもない。中国政府の海洋放出に反対するという立場は変ってない。中国以外に、ロシア、韓国、太平洋島嶼国なども懸念や反対を表明したことがあり、中国の立場は国際社会の正義の声を代表している。今回の合意では、日本が国際法上の義務を着実に履行し、汚染水の人体と環境に与える負の影響を回避し、海洋環境及び生態への影響評価を持続的に実施することを明確にしている。これは日本側が中国を含む国際社会への重大な約束であり、厳格に遵守しなければならない。

次に、中国は福島核汚染水の長期的かつ国際的なモニタリングに有効に参加し、独立したサンプリングなどのモニタリング活動を実施する。このアレンジの達成は容易なものではない。

中国及び関係国の呼びかけのもとで、核汚染水の海放出問題は国際社会の高い関心を集めている。国際原子力機関(IAEA)が初めて福島に常駐事務所を設置し、福島第一原発内と周辺海域で海洋汚染のモニタリングを行う。これはIAEAの今までのないやり方だ。福島核汚染水の海洋生態環境への長期的な影響は、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の2025年から2029年までの優先・緊急プロジェクトに組み込まれている。今回の合意では、日本側が中国を含めたステークホルダー国が長期的かつ国際的なモニタリングと独立したサンプリングに有効に参加することを確保する義務を明確にした。中国の専門家は海洋放出施設内と海上の各段階のモニタリングに参加するという。これにより、海洋放出に対する外部の監視が強化され、より全面的かつ真実で、信憑性のあるデータが入手でき、基準を満たさない日本の汚染水の放出を迅速に阻止できるようになる。また、中日双方は科学に基づき建設的な対話を継続的に展開し、放出に関する懸念を適切に処理するとも書かれている。

これらの取り決めを実現することは容易ではない。特に、一貫して環境保護問題を重視すると標榜してきた欧米諸国が、日本の核汚染水の海洋放出を正当化させる動きを支持し、一部の国が国民の不満を無視して、態度を180度転換させたことが状況を一層複雑にした。中国は大国の責任感を見せ、日本に対し、責任のある方式で核汚染水を着実に処理し、長期的かつ国際的なモニタリング体制と独立したサンプリングの構築を積極的に促し、実際の行動をもって、海洋運命共同体の理念を実践し、世界の海洋環境と人々の健康を守っていく。

第3に、中国は引き続き責任ある態度で海洋生態環境と食品安全のリスクを適切に対処する。

生態環境と食品安全は民生にかかわる重要事項だ。中国政府は常に人民至上と科学の精神を堅持している。核汚染水の海洋放出による食品安全リスクが人々の健康を害することを防ぐため、中国政府は日本の水産物に対する緊急予防臨時措置、海洋放射線環境モニタリングの強化、国内市販水産物の検査強化、遠洋漁業と周辺国から輸入される水産物の放射能レベル追跡など、困難で細かい仕事をたくさんしてきた。中国生態環境部の報告によると、2021年以降、中国管轄海域の海洋環境放射能レベルには異常が見られていない。

合意では、基準に満たした日本水産物の輸入を徐々に再開するための一連の前提条件を指摘した。「長期的かつ国際的なモニタリング体制」「独立サンプリング」「実施後」「科学的根拠」「調整に着手」「徐々に回復」「基準に満たした」などのキーワードから、中国政府は食品安全を大変重視することが窺われる。中国は、中日双方の外交・科学チームが充分な協議を行い、また必要な科学的根拠があることを前提に、慎重に政策を調整する。政府関連部門の科学的検査と厳格な監督管理の下で、中国市場で正規ルートで販売される水産物は、原産国に関わらず、必ず食品の放射能安全基準に合格し、安心して食べられると信じられる。

今回の合意から、中国政府が人々の健康と生態環境を守る原則と立場と、そのために施したたゆまぬ努力が読み取れる。そして、我々は日本の核汚染水海洋放出行為に断固反対すると同時に、この問題を理性的で冷静に科学的に見て対処しなければならない。

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