中国の研究者、「塩湖リチウム抽出」技術を開発
南京大学によると、同大学の朱嘉教授、中国科学院の陳駿院士らは、塩生植物の蒸散プロセスを模倣することで、塩湖の塩水から効率的かつ環境に優しい方法で高純度リチウム塩を抽出することに成功した。中国の高原塩湖リチウム産業のグリーンで質の高い発展を後押しする見込みだ。国際的学術誌「サイエンス」が27日、関連成果を発表した。新華社が伝えた。
論文の筆頭著者で、南京大学特任副研究員の宋琰氏は、「電気自動車(EV)バッテリーなどのエネルギー貯蔵材料における重要鉱物としてのリチウムは主に、塩湖の塩水と固体鉱石という2種の形態で存在している。中国の高原地域には多くの塩湖が分布しており、リチウム資源が豊富だが、湖水の『マグネシウム・リチウム比』という重要指標が高く、マグネシウムとリチウムの分離が難しく、生産されるリチウム塩は高コストの割に低品質だ。高原地域は生態系が脆弱で、関連産業に対する環境保護の要求が厳しい」と説明した。
南京大学の科学研究者が開発した「界面光熱」塩湖リチウム抽出「装置」。(画像提供は南京大学)
同大学の科学研究チームは、塩生植物は塩アルカリ環境で蒸散作用を通じ、塩分と水分を選択的に吸収することに思い至った。蒸散作用の原理を模倣することで、チームは「界面光熱」塩湖リチウム抽出「装置」の開発に成功した。この装置は3層に分かれる。太陽光を浴びると、蒸散装置のナノルート内で超高圧が発生し、高圧がイオン分離層に伝わると、塩水中のリチウムイオンを選択しそれを貯蔵層に「追い払い」、最後に水循環システムにより貯蔵層のリチウム塩が収集される。
宋氏は取材に、「実験室でシミュレーションした昼夜交代及び塩湖の塩水環境において、この装置は528時間連続で稼働した。その水の『マグネシウム・リチウム比』は最初の422から2.5に低下し、リチウムの純度が160倍超上がった。これは装置全体の実行可能性と高効率を検証した」と述べた。
そして、「モジュールの組立により、この装置の面積を持続的に拡大し、リチウム塩の生産量を増やすことが可能だ。より重要なことは、この装置が太陽光だけで稼働でき、電力や化学薬剤を追加する必要がないことだ。特に日照資源が豊富だが生態環境が脆弱な高原地域での使用に適している。エネルギー消費が少なく、環境にもやさしい」と続けた。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年9月30日
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