中国の観光スポットがドローンによるデリバリー配達を次々導入し話題に
山の頂上で、スマホを使って注文すれば、十数分後には、蒸したての包子(中華まんじゅう)を食べたり、ホカホカのドリンクを飲んだりすることができる。そんなドローンを使ったフード・ドリンクデリバリーサービスを導入する中国の観光スポットが増えており、観光客の間で人気となっている。中国新聞社が報じた。
今年の春節期間中に、北京の八達嶺長城を飛行するデリバリードローン(撮影・李夢)。
今年の春節(旧正月、今年は1月29日)連休期間中、北京にある万里の長城の景勝地の一つ・八達嶺長城景勝地は観光客で大混雑となった。そして、山の上空や、城壁の上を飛行するドリンクやフードを配達するドローンも観光客の注目を集めた。注文のコマンドに基づいて、ドローンは、万里の長城の麓にある歩行者天国に並ぶ飲食店で作られたドリンクやフードを、南五楼に設置されているデリバリー受取ポイントまで配達する。通常、観光客がミニプログラムを使って注文を済ませると、飲食店が準備する時間や積み込み、往復の時間などを含め、15分ほどでドローンが受取ポイントまで配達してくれる。配達後は、スタッフがドリンクやフードを取り出して、観光客に渡してくれる。
ドローンが空から降りてきて、受取ポイントに到着するたびに、興味津々といった様子の観光客がたくさん集まり、スマホで撮影したり、スタッフに聞いて、自分も注文したりしていた。受取ポイントのスタッフ・翟羽佳さんは取材に対して、「ドローンはほぼフル稼働している。春節期間中は、昨年の国慶節に合わせた7連休よりも、忙しかった」とした。八達嶺長城では昨年8月に、北京市内では初のデリバリー用のドローン定期航路が開設された。
湖北省から来たという観光客・呉昊松さんは、「ドローンを使ったデリバリー配達を聞いたことはあったが、本当なのかと少し疑っていた。今回実際に体験してみて、とても便利だった」とした。またドローンによるデリバリー配達を利用した多くの観光客が取材に対して、「ドローンによるデリバリー配達は、親切なサービスだし、とても斬新」、「こんなに精度が高く、便利だとは思ってもみなかった」、「中国のテクノロジーレベルが高いということ」とした。
報道によると、昨年下半期から現在までに、山東省済南市の千仏山や湖北省武漢市の竜霊山生態公園、浙江省杭州市の余杭径山鎮小古城村、四川省成都市の麓湖水線公園、安徽省合肥市の浜湖国家森林公園を含む中国の多くの観光スポットがドローンによる配達を導入している。
また広東省の深セン筆架山体育公園や深セン湾公園といった公園にも、デリバリー用のドローン航路約10本が設置されている。今年の春節期間中、ECプラットフォーム・美団のドローンによる、公園への配達は、1日当たり最多約200件に達した。つまり、受取ポイントの営業時間中、約2分に1台のドローンが到着したことになる。
今年の春節期間中に、北京八達嶺長城の南五楼露台付近に飛んできたドローンをスマホで撮影する観光客(撮影・李夢)。
「低空スマート物流」や「低空経済の応用シーン」、「低空製造産業」といったキーワードが多くの省の2025年の政府活動報告に登場している。業界や市場では、これは中国の低空域飛行活動による経済形態「低空経済」の分野において、政府が積極的に措置を講じているシグナルと分析されている。
ドローンのシステムと技術の研究に従事している北京航空航天大学の蒙志君教授は取材に対して、「ドローンによるデリバリー配達の技術はすでに成熟している。位置測定と視覚認識が技術の大きな進歩を促している。一部のハイスペックドローンは飛行の高度なスマート化を実現しており、リアルタイムの状況に基づいて、自動で意思決定をすることができる」とした。
そして、「ドローンの分野では、先端技術、及びその他の業界との踏み込んだ融合のルートが積極的に模索されている。人工知能(AI)はドローンの分野の研究における最新の方向性で、応用の模索がすでに展開されている。実際の応用を見ると、AI技術は、ユーザーが各種飛行シーンにおいて、より効率的で、ダイレクトな判断をすることができるようサポートできるようになっている」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年2月8日
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