中国で社会現象レベルのイノベーションが出現したのはなぜか? その背景を3つの視点から考察
(画像著作権はCFP視覚中国所有のため転載禁止)
DeepSeek(ディープシーク)、人型ロボット、「哪吒之魔童閙海(ナーザの魔童大暴れ)」など、最近の社会現象とも呼べるイノベーションについて、多くの人は「突如として出現」と表現する。しかし、本当にそうなのだろうか。人民日報が伝えた。
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実際には、「哪吒之魔童閙海」は5年の歳月をかけて制作され、一部のシーンは8~9ヶ月も費やして作られた。宇樹科技(unitree robotics)のロボットは春晩(春節<旧正月>を祝う中国の国民的年越し番組)で鮮烈なデビューを果たしたが、エンジニアによる入念な調整に3ヶ月間を費やしたし、その開発は10年以上にわたる技術の蓄積に裏打ちされたものだ。ディープシークは設立からわずか2年だが、主力メンバーは20年近くにわたり人工知能(AI)研究の最前線を追い続けてきた。
「杭州六小竜」と呼ばれるスタートアップ企業群も、一朝一夕で生まれたわけではない。新しい事物に取り組む際、一斉に飛びつくのではなく、正しい方向性を見定めてから、揺るぎなく実行することが必要だ。まずは優秀な人材や研究施設などのリソースを集め、「熱帯雨林」生態環境のように複雑で多様な人材や分野が集まり、交流や融合、協力が行われるエコシステムを構築した。企業に模索や試行錯誤を奨励し、無担保のテクノロジー金融商品を提供する。「無駄な干渉を避け、必要時には迅速に対応する」というビジネス環境を育成した。こうした粘り強い取り組みによって、「潜在的な竜」がついに「小さな竜」になったのだ。
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一気に注目を浴びた成果は、科学技術革新と産業革新の持続的な展開と深い融合によってもたらされたものだ。例えばAI分野では、国レベルの計画を策定し、「AI+」行動を実施し、応用シーンを発表し、技術の進化加速を促進し、人材育成を強化し、企業と大学・研究機関による研究所の共同設立を支援するなど、的を絞った強力な政策パッケージを打ち出してきた。昨年6月時点で、中国のAIコア産業の規模は6000億元(1元は約20.6円)近くに達した。イノベーションの「土壌」は肥沃であり、大規模AIモデルやロボットが勢いに乗じて「成長」している。
一見すると突如出現したように見えるイノベーションには、欠かせない背景として自らの努力、エコシステムの育成、政策支援があり、様々なイノベーション要素が一歩ずつ着実に進み、日々積み重ねられ、共鳴し合った結果なのだ。
社会現象と呼べるほどのイノベーションが持続する力はどこから生まれてくるだろうか。3つの視点から見てみよう。
(1) 制度的優位性によって引き出される潜在力
研究開発(R&D)投資は年々増加し、高度なスキルを持つ人材の規模が拡大し、科学技術の成果の実用化は一層スムーズになり、民間企業のイノベーション推進力もますます際立つようになるなど、イノベーションのたゆまぬ推進を堅持し、短所があればそこに狙いを定めて力を注いできた。正しいトレンドと方向性に沿って努力を続け、迅速に推進することで、中国は過去10年の間にグローバル・イノベーション・インデックスで11位に上昇し、イノベーション力の成長が最も速いエコノミーの一つとなった。
(2) 革新文化によって育まれた原動力
今年の「政府活動報告」では「革新(イノベーション)」という言葉が頻繁に登場した。教育、科学技術、人材を共に重視し、中華の優れた伝統文化を継承し、過去の知恵を現代に活かす。革新という「中華民族に最も深く根付いた民族的資質」が、現在絶えず喚起されている。世界を対等に見る時代に成長した若い世代は、より良い基礎、より広い視野、より悠然たる心を備えている。
(3) 技術開発の難関に取り組むプロセスで培われた自信
「黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)」が世界で人気を博した後、あるネットユーザーが「西遊記で最も価値のあるものは経典ではなく、その過程であり、三蔵法師と従者が『九九八十一難』(9×9=81の試練)を乗り越えたことだ」とコメントした。「両弾一星」(原爆・水爆と人工衛星)の開発から原発、高速鉄道、航空産業に至るまで、中国は技術開発の難関という試練に立ち向かう中で、自立して自らの力を強めてきた。今、時と勢いは中国に味方している。(編集NA)
「人民網日本語版」2025年4月1日
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