北京科学技術博覧会 AIから垣間見る「未来」
AI(人工知能)+中医療法、AI+ごみ焼却……第27回中国北京国際科学技術産業博覧会(以下「北京科博会」)において、数多くのAI分野の技術成果や最先端の取り組みが集中的に展示され、AIが生産・生活に深く融合する未来の姿が描き出されている。中国新聞網が伝えた。
今回の北京科博会は5月8−11日に開催され、テーマは「テクノロジーによる牽引・未来の共創」。
中科尚易の展示ブースで、来場者は上下可動式ベッドにうつ伏せになるだけで、デジタル中医経絡調整ロボットによる個別の経絡調整を体験できる。スタッフの徐冉婷氏は、「伝統的な按摩技術は学習と経験によりツボと経絡を探す必要があるが、同製品はディープラーニングによるAI視覚システムを活用することで、全身の経絡やツボを迅速かつ正確に特定し、複雑な個体差にも柔軟に対応できる上、力覚センサー技術を統合した生体模倣型の柔軟な『スマートハンド』を組み合わせ、設定されたルートに従い経絡調整を行う」と述べた。
来場者の注目を浴びるデジタル中医学経絡調整ロボット。 撮影・王紫儒
ある高精細ディスプレイには、ごみ焼却が従来のベテランによる手動操作からAI支援自動モデルに変化するシーンが表示されていた。北京朝陽環境集団のスタッフである陳東旭氏は展示ブースの前で、「AIスマート焼却技術システムはスマートアルゴリズムによる予測と動的調整に基づき正確な制御を実現し、焼却炉の運転安定性と排出削減・効果拡大の効率を高めている。ごみ焼却における人の手による調整には誤差があり、排出物の変動が生じやすい。AI技術は炎の位置や燃焼状態などのパラメータをリアルタイムでモニタリングし、二酸化硫黄や窒素酸化物などの汚染物の濃度を予測し、吸着剤などの投入量を動的に調整することで、排出物の安定的な基準値達成を実現する」と説明した。
自動運転はAI実用化の重要なシナリオの一つだ。馭势科技の張丹上級副総裁は、「自動運転が近年急速に発展しているが、車種の多様化や走行環境の断片化の問題が残されており、アクシデントや異常気象、複雑な道路状況での応用の妨げになっている」とした。
張氏は、「演算能力の強化、アルゴリズムの改良、データの蓄積により、AI技術は自動運転分野の多様化したシナリオにおけるデータマイニング、データ自動ラベリング、クラウド側データリアルタイムインタラクションなどの能力を高める見込みで、『AI運転手』の物流、乗り継ぎ、配送、小売、巡回点検などの業界における深い応用を推進し、移動の安全性と効率性を高める」と述べた。
技術的ツールからビジネス志向へと、AIは企業での実用化において内容の真偽を判別しづらいという「AIの幻覚」に直面し、意思決定の信頼性を低下させるといった課題がある。
アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)のチームは北京科博会で、「EY METIS」AIプラットフォームおよびスマート応答ロボットを展示した。同社中華圏AI・データコンサルティングサービスのパートナーである陳剣光氏は、「スマート応答ロボットは今年4月に発表されてから1か月で数千人の専門ユーザーにサービスを提供した。当社の1万本以上の権威ある報告書、業界インサイト、そして実践事例などを集め、監査、コンサルティング、税務、戦略と取引、金融サービスなどの全体的な知識マトリックスを構築し、特定産業向けの信頼性の高い知識モデルの構築を目指す」と述べた。
AI技術・応用が爆発的に成長する中で、関連する安全・倫理の課題も無視できなくなっている。陳氏は、「AI発展において『社会的利益のためのテクノロジー、人間中心』という理念を堅持し、鉱産・冶金、消防・救援などのハイリスク分野での応用を模索することで安全性と精密性を高め、最終的に『人間のためのツール』という健全な発展を実現する」と期待している。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年5月12日
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