覆面の女性+中国古筝の動画が中国内外で人気 再生回数1億回超

人民網日本語版 2025年05月14日09:50

中国の伝統楽器・古筝で「千本桜」を弾く動画が、動画サイト「bilibili」(ビリビリ)の「必ず見るべき98の動画」に選ばれ、再生回数がすでに6000万回に達している。演奏と動画配信を手がけるパーソナリティの「墨韻」さんは、ファンの間で「古筝の教祖」と呼ばれている。海外のSNSプラットフォームでも、「墨韻」さんの演奏が多くの視聴者を虜にし、なかでも「ホテル・カリフォルニア」を演奏した動画の再生回数は2000万回を突破した。

この口元を覆面で覆った女性と中国の古筝という組み合わせの動画の人気は高まり続けており、これまでに発表された動画の中国内外での再生回数は延べ1億回を超えた。

2014年、当時まだ学生だった「墨韻」さんは、古筝でボカロ曲「千本桜」を演奏する動画を初めてビリビリに投稿した。するとすぐにたくさんのネットユーザーが関心を示し、「見事な弦さばき」といった感嘆のコメントが寄せられた。

動画は評判になったが、「墨韻」さんの生活にそれほど大きな影響はなかった。「当時はまだ学生で、ネットに使える時間もそれほど多くなく、学業が大事な時期だったので、現実の生活はこの動画が注目を集めたからといって、それほど影響を受けることは無かった」という。

それでもネットユーザーから数多く寄せられた肯定的な反応は、「墨韻」さんにその職業選択において、次第に「自分が本当に好きなことをしよう」と考えさせるようになった。

「墨韻」さんは、「私は専門的な音楽教育を受けたわけではないが、小さい頃から古筝を弾いてきたし、この楽器が大好き。そのため大学で学んだ専攻の仕事より、古筝クリエイターになる方がよいと思った」と振り返った。

古今東西の「次元の壁」を打ち破る

「墨韻」さんは古筝への熱い思いを抱きながら、「古筝パーソナリティ」の道を歩き出した。二次元の世界が好きなことから、まず最初に演奏したのはマンガ・アニメなどの音楽だった。

その後、「墨韻」さんは「次元の壁」を相次いで打ち破ることになる。「権御天下」や「万神紀」といった中国風楽曲も演奏すれば、三星堆博物館や中国初の国産AAAゲーム「黒神話:悟空」との異業種コラボレーションも実現させた。

ここ数年は、西洋の器楽曲も「墨韻」さんのアレンジ・創作の重要なインスピレーションの源となっている。「イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』という曲は、旋法が古筝で弾くのに非常に適している」という。

さらにこの曲の「ホテル」のイメージは中国古代の客棧(宿屋)と通じる部分があったため、その衣装やセットでは香港映画「新龍門客棧(ドラゴン・イン)」を参考にしたという。

チターでも琴でもなく古筝

「墨韻」さんの動画を見た海外のネットユーザーの多くが、コメント欄に「この楽器は何?初めて見た」と書き込んでいる。また、なかには古筝と日本の琴を混同するユーザーもいた。

「墨韻」さんは、「中国の翻訳者はこれまでずっと英語の語彙で中国固有の事物を翻訳してきたが、実際は不正確な翻訳も多かった。現在、いろいろなところで古筝を『zither(チター)』と訳しているのを見るが、チターは古筝ではなくドイツやオーストリアの伝統楽器だ」との見方を示す。

「墨韻」さんは、若い世代は古筝などの中国伝統楽器を世界へ羽ばたかせることができると信じている。そして、「今後、世界のより大きな舞台で、『古筝』という本来の名前で自信をもって紹介しさえすれば、より多くの人にこの楽器は本当は『古筝』という名前なのだと知ってもらえる」と語った。(編集KS)

「人民網日本語版」2025年5月14日

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