東南アジア人の遺伝子コードが解読される
中国科学院昆明動物研究所は東南アジアの複数の国の科学研究機関と協力し、10年間の研究を経て東南アジア人のゲノム研究において画期的な成果を達成した。「東南アジア人ゲノム計画」の第1期成果がこのほど、国際的なトップジャーナル「ネイチャー」に掲載され、東南アジア大陸の人々の複雑な遺伝構造および進化の歴史を初めて体系的に明らかにした。人民網が伝えた。
「東南アジア人ゲノム計画」の第1期成果がこのほど、 国際的なトップジャーナル 「ネイチャー」に掲載された。画像提供:取材先
この研究成果は、中国科学院昆明動物研究所が主導し、東南アジアの複数の国の科学研究機関と共同で、中国西南・東南アジア人類学共同研究連合を創設し、学際的な協力体制のもとで進められた 。研究チームは東南アジア大陸の熱帯雨林の奥地に入り、10数年かけて5つの語族、6カ国、30以上の民族を含む東南アジア人のサンプルを採取し、40例の高精度ロングリードシーケンシングデータを含む3023例の全ゲノムディープシーケンシングを完了し、現在最も完全な東南アジア人ゲノム変異データセット「SEA3K」を構築した。
同チームはゲノム学、集団遺伝学、分子進化学の体系的な研究を通じて、東南アジア人の遺伝変異マップおよびゲノム構造を初めて包括的に描き出し、同地域のゲノム構造が古代集団の分化、混合、適応、人口規模の変動、デニソワ人などの古人類の遺伝子流入といった複合的な影響を受けたことを明らかにした。
東南アジア人ゲノムに見られる自然選択のシグナルと潜在的な環境適応表現型。画像提供:取材先
さらに、同チームは熱帯環境への適応に関係する多くの重要な遺伝子を発見し、濃い皮膚の色、低い身長、マラリア耐性といった熱帯雨林環境に適応した表現型の形成メカニズムを遺伝的に解明し、自然選択による現代人類の表現型多様性の形成を理解するための重要な証拠を提供している。注目すべきは、同チームは初めて東南アジアの先住民において、デニソワ人の複数回にわたる遺伝子流入の痕跡を発見したことだ。これはデニソワ人がシベリアから東南アジアに至る広大な地域に広く分布していた可能性を示唆し、有史以前の人類の進化に関する地理的境界を再定義するものとなった。(編集YF)
「人民網日本語版」2025年5月20日
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