日本のイチゴ苗の「中国への旅」

人民網日本語版 2025年07月08日15:15

「私たちは『紅羽』という名前の日本から来たイチゴ苗。今年の前半、私たちは一緒に美しい中国の海南省三亜市へやって来ました。とても楽しい旅だったので、私たちの中国への旅を皆さんにもぜひシェアしたいと思います」。人民網が伝えた。

話は今年の初めにさかのぼる。私たちは実が美味しいだけでなく、体が丈夫で、塩類・アルカリ土壌や乾燥地でも生き延びることができる。そうした特長が中国のある企業の目にとまり、それが今回の中国行きのきっかけになった。

月亮島(ムーンアイランド)植物隔離苗畑では、研究者たちが「紅羽」の苗を研究しているところ。写真提供:取材先

月亮島(ムーンアイランド)植物隔離苗畑では、研究者たちが「紅羽」の苗を研究しているところ。写真提供:取材先

4月23日、日本の空港を出発し、上海浦東空港に到着。「健康診断」を受けた翌日には出港手続きが取られ、3日目には三亜の月亮島にある「五つ星ホテル」に入居した。高級な個室で診断の結果を待ち、結果が出てからそのまま「ホテル」に滞在して検疫隔離を受けた。

あとで知ったのだけれど、これは「海南自由貿易港における輸入苗木の条件付き関税区間移動」という新たな政策によるものだった。この政策では、国外から海南自由貿易港へ輸送される苗木は、北京や上海、広州、深セン、昆明の税関から入境し、税関での検査で異常がなくサンプル採取が済んでいれば、輸入企業の申請により、検疫結果が出る前に海南自由貿易港内の監督要件を満たした場所に移動して保管することが許可されている。そして検疫結果が出た後、正式に通関手続きを行うという流れになっている。この政策のおかげで、空港での長い待機時間が不要になり、もともとはとても長かった通関時間が1~2日に短縮され、私たち苗の生存率も95%以上に向上した。

三亜での生活はとても快適だった。

月亮島植物隔離苗畑の俯瞰写真。撮影・符武平

月亮島植物隔離苗畑の俯瞰写真。撮影・符武平

私たちが暮らしていたのは「月亮島植物隔離苗畑」という施設で、さまざまなサービス施設が完備されていた。ここは現在中国で最高レベルにあたる「三級隔離苗畑」として設計され、その中でも陰圧エリアは28の独立管理された陰圧室があり、環境制御システム、水肥供給システム、排水処理システム、害虫検疫システムなども設けられていた。

実は日本を出発する前に、私たちは中国の「身分証明書」、つまり「農業植物新品種権」の申請もしていた。海南自由貿易港の農業植物新品種審査協力センターを通じて農業植物新品種権を申請することで、受理から初期審査までの期間が大幅に短縮され、農業農村部(省)に直接申請するよりもスピーディーに手続きを進めることができた。

「ホテル」滞在中、さらに嬉しい知らせが届いた。なんと「身分証明書(新品種権)」の取得がさらに早まるというのだ。海南省では現在、「輸入農業植物の隔離検疫とDUS(特異性・一貫性・安定性)試験の同時実施(試行)」という便利な政策がある。これまでは、中国に来た仲間たちはまず1~2成長期にわたる隔離検疫を終え、問題がないことが確認された後でようやくDUS試験を受けることができ、その試験に合格して初めて証明書を取得できるという長い道のりが必要だった。それが今では、隔離検疫中にDUS試験を同時に実施できるようになり、認可までの期間が大幅に短縮された。

これが、私たち「紅羽」が中国に来た時の素晴らしい「体験」です。これから中国の皆さんと幸せな日々を送れることを楽しみにしています!(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月8日

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