2025年長江源総合科学調査が始動 「中国の給水塔」の保護状況を継続追跡

人民網日本語版 2025年07月28日13:59

2025年長江源総合科学調査隊が27日午前、湖北省武漢市を出発し、午後には青海省内にある長江源エリア・通天河直門達河区間に到着。ここで多分野にわたるサンプリング観測を行い、2025年度の科学調査が正式に始動したことが同日、水利部(省)長江水利委員会長江科学院への取材で分かった。新華社が伝えた。

同日午後、調査隊員たちは直門達河区間で携帯型の多機能測定機器を用いて現地で河川水の水質や電気伝導率などのパラメータを測定し、水と堆積物のサンプルを専用の容器に採取した。調査後、これらのサンプルは実験室に送られ、詳細な物理・化学分析が行われる。

携帯型の多機能測定機器を用いて現場で河川水を分析している調査員。撮影・邱婧熠

携帯型の多機能測定機器を用いて現場で河川水を分析している調査員。撮影・邱婧熠

調査員によれば、岸辺の浅瀬で、青蔵高原(チベット高原)に固有の魚類である裂腹魚や細尾高原鳅などが見つかり、孵化したばかりでわずか数ミリほどの稚魚もいた。これは、魚たちが流れの緩やかな場所を産卵場にしており、水の生態環境が魚類の成長に適していることを示しているとのことだ。

調査員が発見した孵化したばかりの高原特有の魚類。撮影・邱婧熠

調査員が発見した孵化したばかりの高原特有の魚類。撮影・邱婧熠

今後の調査では、長江科学院が結成した多分野の科学調査チームが、過去の調査実績を踏まえつつ、長江の本流である沱沱河、南源の当曲、北源の楚瑪爾河、および瀾滄江源などを対象に、水文、堆積物、河道の状況、水環境、水生態、水資源、水土流失、氷河・凍土といった分野にわたり総合的かつ深層的な調査を実施し、三江源(長江、黄河、瀾滄江の源流域)エリアの生態環境の実態を明らかにしていく予定だ。

三江源エリアは、気候変動に敏感に反応する地域であり、生態環境の脆弱地域でもあり、青蔵高原生態系の重要な構成要素だ。

江源科学調査は2012年から毎年実施されており、長江の源流を対象とした最も回数が多く、範囲が広い科学研究活動のひとつとなっている。現在では、長江源の保護における重要な科学的支援プラットフォームになりつつあり、年々、多くの貴重な生態環境データと資料が蓄積されている。

長江科学院の姚仕明副院長は、 「三江源の科学調査を継続的に実施し、生態環境変化に関する基礎データを取得することで、長江源エリアの生態環境の現状をより深く把握し、『中国の給水塔』の保護に役立つ。これは、三江源エリアにおいて私たちが進める流域の保全とガバナンスの生き生きとした実践でもある」と語った。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年7月28日

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