時空を超えた「伝承の美」 国連本部で行われる敦煌芸術展
世界でも高く評価されている敦煌芸術は、清華大学美術学院(以下、「清華美院」)が文化の鼓動を伝承するための重要な媒体だ。清華美院の前身である中央工芸美術学院は、中国現代芸術デザインの「ゆりかご」であり、敦煌芸術を研究・伝承する優れた伝統を誇る。同学院の元院長である常沙娜教授は、青少年時代、父親の常書鴻氏から敦煌芸術を学び、敦煌壁画の模写に勤しんだほか、その後の活動と実践においても、敦煌芸術からデザインのインスピレーションを得て、人民大会堂や民族文化宮といった建築物の装飾品のデザインを担当したほか、景泰藍による作品「和平鴿大盤」やシルクのスカーフのデザインなどを手掛けてきた。中央工芸美術学院で教鞭を執っていた期間中、常教授は、敦煌装飾図案の総合性研究と教育、伝承に尽力した。そして、常教授の感化の下、学院の教師や学生は、カリキュラムや創作の実践において 敦煌芸術の薫陶を受けながら、理論と実践の成果をしっかりと積み重ねていった。人民日報海外版が伝えた。(文・李迎軍 清華大学美術学院副院長)

景泰藍による作品「和平鴿大盤」
米ニューヨークにある国連本部のアーチ形の回廊で12月8日、「敦耀光華——清華大学美術学院敦煌芸術研究及びデザイン成果国連本部特別展・国際学術シンポジウム」が開幕した。展示とフォーラムは、清華大学美術学院の数十年にわたる敦煌芸術をテーマとした研究と創作の成果を展示することを目的としている。特別展には、常教授のほか、龐薰琹氏や雷圭元氏、陳漢民氏、劉巨徳氏といった先達の芸術家のほか、優秀な卒業生や学院の教師、学生の作品が展示されている。
展示されている作品は、絵画やアパレル、建築物、オブジェ、バーチャルアートといった多数のジャンルをカバーしており、創作の手法には、刺繍、プリント、染色系の中国伝統の無形文化遺産の技術の運用もあれば、3Dプリントやバーチャルファッションといった現代芸術の模索もあり、最も古い作品と最も新しい作品には約100年の開きがあるため、時空を超えた「伝承の美」を感じることができるようになっている。
こうした展示品を通して、敦煌文化の重厚で奥深い歴史や独特な精神的内包、さらに、今なお輝く革新的な魅力を感じることができる。
今回の交流イベント開催期間中、清華大学美術学院は、敦煌の塑像にインスピレーションを得た革新的なデザインの作品や、同学院が近年出版してきた敦煌芸術関連の著作を携え、ハーバード大学で国際学術シンポジウムを開催するほか、ハーバード大学美術館と交流を展開することになっている。
文明は、交流を通して多彩になり、文明は相互参考を通して豊かさを増す。敦煌は、地理的拠点であるだけでなく、人類の文明融合の「生きた標本」だ。長い歴史の中で、東洋と西洋の要素が敦煌において見事に融合し、新たな最高峰の芸術が生まれ続けた。
新時代の中華文化の継承者、イノベーター、伝達者である清華大学美術学院の教師と学生は、敦煌芸術を継承し、イノベーションと発信という使命を背負っている。今回のイベントにおいて、敦煌芸術を架け橋として、各国の専門家、学者、芸術家らが地域と文明を超えた対話を展開し、敦煌芸術の価値と中華文化の魅力が伝えられると同時に、さらに踏み込んだ協力と発展、多様な文化の交流、相互参考が促進されることを願っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2025年12月8日
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