中国、宇宙コンピューティング産業エコシステムの育成を加速
「宇宙コンピューティング」という概念がこのところ頻繁に人々の注意を引くようになっている。新華社が伝えた。
北京経済技術開発区で開催された2026年宇宙コンピューティング産業大会では、中国業界初の宇宙コンピューティング産業協働プラットフォーム「宇宙コンピューティング専門委員会」が正式に設立されたほか、北京宇宙コンピューティングイノベーションセンターの設立準備が始動し、宇宙搭載AIチップや宇宙エネルギー、放熱などの分野に焦点が当てられた。また、米国の企業家イーロン・マスク氏は、36ヶ月以内に宇宙が人工知能(AI)を展開する上で最も低コストな場所になるとの見方を示した。
では、宇宙コンピューティングとは何か。中国情報通信研究院クラウドコンピューティング・ビッグデータ研究所の李潔副所長は、「宇宙コンピューティングとは宇宙技術を拠り所として、軌道上に計算システム、データストレージシステム、高速データ相互接続施設を展開することで、演算能力・データ保存能力・伝送能力を統合した宇宙情報インフラを構築するものだ」との見方を示す。
分かりやすく言えば、宇宙コンピューティングは、従来地上に設置されていたデータセンターを宇宙に「移設する」ようなもので、「衛星がデータを取得し、地上で処理・分析する」というモデルの制約を打破し、衛星が宇宙空間でデータの取得、処理、保存、出力を行えるようにする技術だ。
宇宙コンピューティングが台頭する背景について、工業・情報化部(省)情報通信発展司の趙策副司長は、「宇宙コンピューティングには、軌道上でのリアルタイム処理、低コストのエネルギー、広範囲なカバーといった優位性があり、宇宙エネルギーの開発能力強化、全域カバーと耐干渉能力の向上、ネットワーク応用の拡張に寄与し、戦略的価値と産業的将来性がある」としている。
エネルギーの観点から見ると、超大型データセンターの年間消費電力は小規模都市の住民全体の消費電力に匹敵する。国際エネルギー機関(IEA)のデータでは、2030年までに世界のデータセンターの電力消費量は日本全国の総電力消費量に近づく見通しだ。そのため李副所長は、「宇宙コンピューティングは宇宙太陽光や宇宙空間の極低温環境を効率的に活用でき、地上エネルギーを強力に補完できる」としている。
全域カバー能力の面では、宇宙コンピューティングは衛星コンステレーションの構築後、地上の光ファイバーや基地局のカバー範囲に制限されなくなり、ほぼ100%のシームレスなグローバルカバーを実現できる。これにより、自動運転車に対する高度な技術支援や、低空飛行体の迅速な応答などが可能になる。
しかし、使える段階から使いやすく、低コストで使える段階に至るまでには、宇宙コンピューティングにはなお長い道のりがある。業界関係者によると、現在は宇宙間通信、宇宙搭載チップ、エネルギーおよび熱管理技術、さらには応用シナリオやビジネスモデルなどの面において多くの課題が残されている。

2026北京国際商業宇宙展の藍箭航天ブースで展示された再使用型キャリアロケット「朱雀3号」の模型を見学する来場者(2026年1月23日撮影・鞠煥宗)。
打ち上げサービス能力は、中国における大規模衛星コンステレーション展開を制約する重要なボトルネックとなっている。昨年12月3日、再使用型キャリアロケット「朱雀3号」は初飛行を完了し、軌道投入に成功したものの、第1段の回収は完全には成功しなかった。藍箭航天の「朱雀3号」再使用ロケットの張暁東チーフデザイナーは、「当社は再使用ロケットの実用化にはなお一定の距離がある」とした。
さらに張チーフデザイナーは、「衛星の打ち上げ・展開の要件を満たすには、今後一定期間にわたり年間平均で約500機の中大型キャリアロケットの打ち上げが必要になる。これは国内のすべてのロケット開発機関の共同努力が必要だ」と率直に述べた上で、「『朱雀3号遥2』は2026年上半期に再び回収試験を行い、第1段回収という中核目標の達成に全力で取り組む予定だ」とした。
応用シナリオの育成は、宇宙コンピューティングの実装と普及を進める重要な鍵となる。
3月中旬、国星宇航と上海交通大学による宇宙コンピューティング共同実験室は、自然言語の指令によって宇宙コンピューティングを遠隔で呼び出し、地上の人型ロボットを制御する技術試験を成功させた。
国星宇航の劉京晶最高執行責任者(COO)は、「この試験により宇宙コンピューティングの応用ポテンシャルとその背後にある巨大なビジネスチャンスが検証された。例えば、宇宙コンピューティングは場所の制約を超え、緊急救援、遠洋作業、無人鉱山などのシナリオにおいてロボットの継続的な稼働を支援できる」とする。
今後に向けて、宇宙コンピューティングは新たな機会を孕んでいる。
趙チーフデザイナーは、「今後は体系的な計画を強化し、先を見据えた計画を立て、産業育成を深化させ、連携した技術開発を推進しながら、宇宙コンピューティング産業の発展を着実かつ秩序立てて推進していく」と話す。
さらに趙チーフデザイナーは、「技術進化や産業動向の分析を実施し、宇宙コンピューティングの建設と応用を導く政策措置を策定するとともに、宇宙搭載耐放射線チップや宇宙間レーザー通信などの技術・製品の開発を推進する。また、リモートセンシングのリアルタイム処理、通信強化、時空間情報などの分野で宇宙コンピューティングの応用を掘り起こし、宇宙コンピューティング産業エコシステムの育成を加速させていく方針だ」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2026年4月10日
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