先端技術を融合させた中国のスマート育種ロボット

人民網日本語版 2026年04月29日14:03

温室の屋根から差し込む陽光が、青々としたトマトの苗の列に降り注ぎ、つるの間では淡い黄色の小さな花が咲き誇っている。白いロボットがレールに沿ってゆっくりと停止し、ロボットアームを伸ばして識別、位置決め、受粉を一気に行う。これが中国のスマート育種ロボット「吉児(ジーアル)」の日常だ。人民日報が伝えた。

異分野融合という新たなアプローチが、「吉児」のブレイクスルーをもたらした。中国科学院遺伝・発育生物学研究所は、中国科学院自動化研究所、懐柔科学城脳認知機能マップ・脳型知能学際研究プラットフォームの研究チームと共同で取り組み、「バイオ技術の基盤+AI(人工知能)によるエンパワーメント+ロボットによる作業」というスマート育種モデルを世界で初めて確立した。

中国科学院遺伝・発育生物学研究所の許操研究員は、「バイオ技術の面では、チームは遺伝子編集によって作物の花の形を再構築し、トマトや大豆などの自家受粉作物を精密に改良した。遺伝子編集によって、おしべをまっすぐな形から曲がった形に変え、内部に包まれていためしべの柱頭を自然に露出させる。これは花に精密な『整形手術』を施し、もともと人の手で開く必要があった花弁を自ら開くようにしたのに等しい」と語る。

AIとロボット技術の融合により、精密育種は現実のものとなった。中国科学院自動化研究所の楊明浩研究員は、「『吉児』には独自開発した空間内の微小目標を高精度で検出するディープラーニング手法と、ロボットアームの器用で繊細な操作モデルが統合されている。逆光や枝葉による遮蔽といった複雑な農業環境の中でも、小さな花を正確に識別し、空間的位置を特定できる。柱頭の識別精度は85.1%に達している」と話す。

こうした革新的成果は、現実の産業価値へと転換されつつある。トマトの交配育種では、「吉児」と許氏が世界で初めて確立したゼロからの栽培化技術が強力に連携し、従来5年かかっていた育種期間を1年に短縮し、人件費を25%以上削減できる。大豆育種の分野では、構造型大豆雄性不稔系の迅速な作出を初めて実現し、人工授粉にかかる時間を76.2%削減できる。これにより、「目視と手の感覚に頼る」従来の育種モデルを根本的に変えることが期待されている。楊氏は、「『吉児』の研究開発の過程は、技術的ボトルネックを突破しただけでなく、学際的な農業科学技術人材を育成し、需要が人材を呼び込み、実践が人材を育てるという双方向の循環を形成した」と述べる。

「吉児」に関する中核研究成果は昨年、国際学術誌「セル(Cell)」に掲載され、国際的な評価を得た。現在、研究チームはすでにバージョン2.0の開発に着手しており、大豆や綿花などより多くの作物への技術適用を進めている。楊氏は、「応用範囲をさらに広げるためには、ロボットがより多様で複雑な栽培環境に適応する必要がある」と率直に語った。

「第15次五カ年計画(2026−30年)」要綱は、農業科学技術と設備による支援の強化を打ち出している。農業を現代的な大産業へと発展させる鍵は、科学技術の進歩とイノベーションにある。現在、中国の農業科学技術イノベーションの総合的効果はさらに向上しており、農業科学技術進歩の寄与率は64%を超え、優良品種の普及率は96%を超え、農作物の耕作・播種・収穫の総合機械化率は76.7%に達し、主要穀物ではほぼ全工程の機械化が実現している。(編集YF)

「人民網日本語版」2026年4月29日

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