芸術で世界をつなぐ 観瀾版画拠点で制作に励む日本人版画家・園山晴巳氏
広東省深セン市竜華区に位置する中国・観瀾版画オリジナル産業拠点は、300年の歴史を持つ客家古村落を活用・再生して建設された。2008年5月に始動した同拠点の国際アーティストレジデンスプロジェクトには、十数年にわたり世界各国の版画家が次々と訪れている。2026年アジア太平洋経済協力(APEC)深センサミットを契機として、今年はオーストラリア、韓国、ロシア、インドネシアなどの国から版画家30人以上が招待され、同拠点でレジデンス制作を行っている。

現在までに観瀾版画オリジナル産業拠点でのレジデンスプロジェクトに参加したアーティストたち(撮影・王暁霞)。
日本を代表するリトグラフ版画家である園山晴巳氏は、同拠点で最も早い時期からレジデンスプロジェクトに参加していたアーティストの一人であり、観瀾の常連でもある。2009年にはすでに同拠点に招かれ、制作指導を実施。2011年には深セン画院で個展を開いた。それ以降、長年にわたりその作品は中国国内各地の公立美術館に展示され、中国の人々や芸術界との交流を続けてきた。
長期にわたるレジデンスプロジェクトを経て、深センは園山氏にとって重要なインスピレーションの源となっている。彼の主要なシリーズ作品の多くは、観瀾拠点での日常から生まれている。「黒シリーズ」は滞在宿舎のカーテンの隙間から差し込む光を捉え、2024年前後に主に深センで制作された。新作の「緑シリーズ」は滞在空間に生育する植物をモチーフとし、計6点の制作を予定し、現在2点目が完成したばかりとなっている。

新作の「緑シリーズ」の一枚目を見せる園山氏(撮影・王暁霞)。
同拠点での静かな制作環境と充実した技術サポートにより、レジデンスアーティストは集中して創作に打ち込むことができている。また制作の合間には、没入型で中国文化に触れ、郷土料理を味わい、多様な人々と出会い、多元的な芸術の着想を交わすこともできる。

客家古村落の風情が残る観瀾版画オリジナル産業拠点(撮影・王暁霞)。
現在、AIが芸術創作に取って代わり得るかどうかが芸術界において活発に議論されている。インタビューの中で園山氏は、芸術創作を全面的にAIに委ねて作品を生成させることに反対すると明確に自身の考えを語った。 なぜなら、創作をAIに任せてしまうと、人間はアルゴリズムが出力した結果を受動的に選択するだけの存在に陥り、創作の主導権を失ってしまうからで、芸術のインスピレーションの源は機械の演算ではなく、人間が現実の生活から直接得る体感にあるとした。
さらに彼は、デジタル化・AI 化の波によって伝統的な芸術素材や紙媒体が急速に失われつつある現状に懸念を示した。そして、国境を越えた協働ネットワークを構築し、手仕事の技術と実体を伴う文化的遺産を守り、次世代へ継承することを呼びかけている。触覚や生き生きとした生命の感覚は人間だけが持つ特性であり、技術が進んでも消滅することはないと語るこの信念こそが、一貫して彼の版画制作を支える核心となっている。
一つの都市の文化的魅力は、奥深い歴史遺産だけでなく、開放的で包摂的な都市の品格からも生まれる。深セン市には客家の古村が培ってきた人文的なつながりがあり、同時に世界を広く受け入れる度量もある。観瀾版画拠点は、まさにこうした都市の姿を鮮やかに映し出す縮図と言える。
ここは単なる工房ではなく、世界のアーティストに開かれた文化プラットフォームだ。古村を舞台とし、版画をコミュニケーションの言語として、充実した技術的支援と自由度の高い創作環境を提供し、世界各地のアーティストがここで生活し、観察し、思索することを歓迎している。
異なる国のアーティストがここで出会い、地域文化の恵みを吸収し、現地での体験をその芸術的表現に変え、文明同士の相互理解のもとでインスピレーションをぶつけ合い、国境を越えた芸術の佳作を共に生み出している。
今後、深センはこのプラットフォームを活用し、国際的な芸術の対話を推進し続け、多様な文化の交流と共生を促進し、芸術の共通の力を世界に向けて発信していく計画だ。(文:王暁霞)
「人民網日本語版」2026年10月21日
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